第3話 Man Without a murderous


トーストが焼けた音が部屋に響いた
焼きたてのトーストを2枚、熱さを感じながら取り出して急いで皿に移す
その上に先程焼いた目玉焼きを乗せてサラダのボールをテーブルの上に置く
カチャカチャと食器の響く音と足音でビリーは深い眠りから目を覚ました
周りを見れば女性らしい薄いピンクのカーテンや小物が置いてある、自分はあのまま出て行かなかったのか
ビリーは起き上がってリビングへと向かう

「あ、おはよう」
「……おはよう」
「随分と寝てたみたいね、朝食作ったの。よかったら食べる?」

コーヒー淹れるね、とナナはマグカップを二つ取り出す
自分の分も用意されている食事を見てビリーは目を細めた

「どうして起こさなかったんだ?」
「…起こしたわ、でも起きなかったの貴方…よっぽど疲れてたみたいね」
「そうか……」

ソファーを見れば毛布が1枚置いてある
どうやら自分がベッドを占領してしまったため彼女はここで寝ていたようだ

「ベッドを占領して悪かったな、お嬢さん」
「いいわよ別に、友達の家で大勢で泊まったときは床で寝たこともあったし」

慣れてる、とおどけたようにナナは笑って見せた
たくましいなとビリーは言うと椅子に座り、一緒に朝食を取った

「食べ終わったら私は学校に行くけど…貴方はどうするの?」
「……いられちゃ迷惑だろ、心配しなくても出て行く」
「……怪我治ってないんでしょ、それに……最初から私を殺すつもりじゃなかったのね」

どういうことだ、とビリーはナナを見る
彼女は昨夜テーブルの上に置いたビリーの銃を彼に渡した

「弾……入ってなかったわ」
「……」
「…その傷だって動けばまた開くわ、しばらく大人しくしてた方がいいわ」
「……何故俺にここまで優しくする?」
「私、将来看護婦を目指してるから」

ナナは最後の一口であるサラダを口に入れ、再び口を開いた

「善人であれ悪人であれ怪我をしている人は放っておけないわ」
「ふっ…そうか」

コーヒーを飲みながらビリーは喉の奥で笑った
ナナは空いた食器を水につけるとリュックを背中に背負った

「だから大人しく家にいてね、動かないでよ」
「わかったよお嬢さん」

学校に向かうナナにビリーは片手を上げた



看護婦目指してるヒロイン設定です、今回は
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