第1話 Encounter with suspicious man
これから私がお話しするのはある二人の男女の話
男女と聞いて甘い恋愛を期待する人もいるかもしれない
だけどこの物語は違う……
それはとても切ない話……
――1998年
すでに日は暮れている
息を切らしている男はぜぇぜぇ言いながら足を止めた、振り返ってみるが当然誰もいない
先程体験した恐怖のせいだろうか?
男は苦笑すると崖の上から一つの町を見下ろした
街中を歩いているのは二人の男女
だがこの二人は仲良く横に並んで歩いている様子ではなかった
女はスピードを速めて前を歩き、後ろにいる男がそんな彼女を追いながら必死に声をかけている
「なぁ!待ってくれよナナ!僕が悪かったよ!!」
謝っている彼に見向きもせずにナナはずんずんと先を行く
男はまた追いかけて彼女の腕を掴んで自分の方に振り向かせた
「話を聞いてくれよ…」
「…もう貴方にはうんざりだわ、ピーター……何度私を裏切れば気が済むの?」
「ジュリエットはただの友達さ!信じてくれよ!」
「この前のマリーの時もそう言って体の関係を持っていたじゃない!ジュリエットとも寝たんでしょ!?彼女自身が言ってたわ、貴方のを咥えたって!」
「彼女は嘘をついてるんだよ、僕が愛してるのは君だけさ」
ピーターは必死に言うがナナは彼の頬を叩いた
叩かれた彼は痛そうにするがそれを無視してナナは家へと向かった
ピーターとナナが出会ったのは大学のパーティでの事だった
彼は出会った時からとても紳士的で優しかったのだが女癖が悪く、何度も浮気をされた
その度に彼が泣いて謝るので許してきたのだがこう何度も浮気をされてはさすがのナナにも我慢の限界だった
泣きそうになりながら家へと着いたナナは鍵を取り出す、その時ふ、と家の門の近くに誰かがいるのに気がついた
まさかピーターだろうか?ゆっくりと近づいてみると男が蹲っていた
「ねぇ…大丈夫?」
声をかけると男の体がピクリと反応した
随分と汚れている、まさかホームレスだろうか?
男は頷くとそのままゆっくりと立ち上がった、180ぐらい身長はあるだろうか?
一瞬心臓がドキッとしたが次の瞬間それは恐怖へと変わった
銃を突きつけられたのだ
「ひっ…!?」
「…悪いなお嬢さん、俺を家の中へ入れてくれないか?大人しくしてれば手を出さないと約束する」
「っ…!」
ナナは頷くと男を急いで自分の部屋の中へと入れた
始まりましたビリー連載!プチ連載ですのでそんなに長くならないです
120618