06


病院へと運ばれたレオンは命に別状はなかったものの意識が戻らないそうだ
医者から説明を受けた後、ナナは自宅へと戻ってきていた
家のインターホンが鳴る。出てみればこの間自分を訪ねてきた刑事たちがやって来た
きっと今回の事で話を聞かれるのだろう
自宅の中へと招き入れてナナはソファーに腰をかけた

「早速ですが…犯人を見ましたか?」
「…いえ、犯人は車に乗ってたし…スピードも速くてわかりませんでした」
「ふむ…」

手帳へと書き込む刑事の様子を見ながらナナは顔を俯かせる

「あなたを襲った犯人が逃げたのをご存知ですか?」
「はい……それをレオンから聞いて逃げようとした時に襲われたんです」
「逃げようとした?」
「…レオンがここにいたら危険だから別の場所に行こうって…」
「なるほど…エージェントの予感は正しかったわけですな」

そう、レオンの考えは正しかったのだ
自分が彼を疑わずにさっさと行動していればこんな事にならずに済んだ
レオンが怪我をせずに済んだのだ
こうなってしまったのもすべては犯人のせいだ
ナナはずっと気になっていた犯人の事を刑事に尋ねてみた

「犯人の事を教えてください…名前とか…顔とか…」
「あぁいいですよ……あなたが何かを思い出すかもしれませんしね。……これがあなたを襲った犯人のトラヴィスです」

懐から出された犯人の写真をじっくりとナナは見つめた
犯人の名前を小さく呟いて頭の中に映像が浮かんだ
この男が遠くから自分を見つめていたりする映像だ
頭痛が彼女を襲い呻き声を上げる、刑事が気を使って彼女に声をかけた

「大丈夫ですか?」
「はい……でも、この男が私にストーカー行為をしていたような気がします」
「……そうですか。どちらにしろ彼は逃げるときに警察官に大怪我を負わせてますからね、しかも意識不明…数年は出て来れないでしょう、おいトラヴィスは家に帰った様子はあったか?」

部下に声をかけると部下はどこかに連絡していたようで電話を切ると首を横に振った

「家には帰っていないようです……街を出たかもしれませんね」
「そうだな。アパートからは引き上げさせて高速道路を中心に見張る方がいいかもしれんな」
(アパート…?)

ふと遊園地の観覧車で見たあのアパートの事が思い出された
もしかしてあのアパートが犯人の家なのだろうか?
刑事は挨拶をして部屋を出て行った
一人残されたナナは犯人への怒りが込み上げてきていた
命をかけて守ってくれたレオンをあんな目に合わせた事が許せなかった、自分に用があるのなら自分だけを狙えばいいものなのに
自分の記憶にあるアパートがトラヴィスの家だとしたら……
危険かもしれないが自分がそこに行けば犯人は現れるかもしれない


* * *

「ここだ……」

遊園地の観覧車から見えたアパートにようやく辿り着いた
一応辺りを見渡してからナナは下のポストで犯人の名前を探した
すると犯人の名前を見つけることができた

「トラヴィス……709号室……709?」

偶然なのかわからないが709号室は今自分がレオンと一緒に住んでいる部屋の番号と同じだ
段々と早くなっていく鼓動を抑えながらナナはエレベーターに乗って部屋へと向かった
709号室に辿り着くと頭痛が彼女を襲った。何故かわからないが見覚えがある、この部屋の扉も廊下も
痛む頭を抑えながらゆっくりと扉を開けて中に入った
当然だが人の気配は感じられない、怯えながらナナは果物ナイフを手にとって前へと進んでいく
だが物陰に隠れていたのか後ろから羽交い絞めにされてナイフはあっさりと床に落ちた

「いやっ!!はなしてっっっっ!!!!!!」
「……あの刑事たちを追いかけてきて正解だったな」
「やだっ!!!!やめてっ……んぐっ!!」

後ろから大きな手で口を塞がれて声を上げる事ができなくなってしまった


130826


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -