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ミサイルの発射を止める事ができなかった
発射されたミサイルは中国の街へと落ち、ウィルスを撒き散らした
そちらはレオンに任せることになりクリスたちはジェイクとシェリーの救出に向かう事になった
ウェスカー
再び彼の名前を聞くことになるとは思いもしなかった
そしてこれから自分が助けに行くのはウェスカーの息子…

海底基地の長いエレベーターを降りて行く中でピアーズが口を開いた

「皮肉なものですね…世界を滅ぼそうとしたアルバート・ウェスカーの息子がCウィルスから世界を救う唯一の希望か……」
「それを俺が助けに行く」
「父親を倒した人に…」
「これも…運命なのかもしれないな」

どこか遠くを見つめながらクリスはウェスカーの事を思い出す

「3年前…ウェスカーを倒したその時…俺の戦いはいったん終わりを迎えた――ジェイクの救出が終わったら俺は武器を置く」
「ちょっと待ってください!!」

突然のクリスの引退宣言にピアーズは驚いて声を上げた
考え直してくれとでもいうような瞳でクリスを見つめるが彼はそのまま言葉を続ける

「退くにはいい機会だ。それにもう…ナナを心配させたくない……これから先のことはお前に託す」
「……俺には荷が重過ぎます」
「大丈夫さ、お前ならやれる……さぁ行くぞ、最後の仕事だ!」

エレベーターの扉が開いたと同時に二人は銃を構えた


* * *

研究施設を進んでいたクリスは見覚えのある姿に気がついた
向こう側の通路からジェイクとシェリーが走ってきたのだ
シェリーもクリスたちの姿に気がついたらしく安心したような表情を見せた

「二人とも無事でよかった」
「あなたたちだったのね、助けてくれたのは」
「さすがは正義の味方だな」

気に入らない様子でジェイクはクリスに言うとそのまま周りを見渡した
複雑な瞳でクリスはその後姿を見つめた
言われてみれば長年の因縁の相手だったあの男に似ているかもしれない

「……父親の面影があるな」
「!…知ってんのか?」
「あぁ……俺が殺した」

ジェイクは驚いたように目を見開いた後シェリーを見た
彼女は何も答えずに目を伏せた
その様子ではシェリーは知っているようだった、ジェイクは唇を噛むと銃を取り出してクリスに向けた

「ジェイク!やめてっ!」
「隊長!」
「これは俺と彼の問題だ。撃ちたいなら撃て、君にはその権利がある」
「ハッ…そうかよ」

銃を構えるジェイクをクリスはただ無言で見つめる

「……何故親父を殺したんだ?BSAAとしてかあんた個人としてか?」
「両方だ」

震える声で尋ねるジェイクにクリスは真っ直ぐに彼を見つめて答えた
ゆっくりと引き金が引かれていく
シェリーとピアーズが必死に止める中、銃弾が放たれた
しかしそれはクリスの頬を掠めただけで終わった

「こんなことやってる場合じゃねぇんだよ…」

銃を降ろしたジェイクにピアーズもシェリーもホッと息をついた
直後基地内が大きく揺れて上から瓦礫が落ちてくる
エレベーターで4人は脱出する事になった

「あんな無茶する必要ないでしょ。ウェスカーは死んで当然の奴だった、隊長のやったことは正しい。世界の平和を守ったんですから」
「だがあいつにとってはたった一人の父親だ、知っておく権利はあるだろ?」
「…クロエちゃんにとってもあなたはたった一人の父親なんですよ?まったくハラハラさせられる…」
「俺のパートナーになった人間はみんなそう言うのさ」

エレベーターに乗り込んでくるジュアヴォたちを銃で退治しながら何とか上へと辿り着いた時だった
巨大なサナギが目覚めて4人に襲い掛かってきたのだ

「お前たちは先に行け!」

先に逃げろという言葉にシェリーが戸惑った表情を見せた
クリスがジェイクを見つめれば彼は少し頷いた仕草を見せ、シェリーの腕を引いて先に出て行った
残されたクリスとピアーズは上に向かって進み始めた


130716


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