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人質を救出したクリスたち
途中ビルの中に閉じ込められてしまったが何とか無事に脱出した時、クリスは目の前のサナギ化した物体を見て再び頭痛が彼を襲った
だがこれ以降彼に頭痛が襲うことはなかった、そうすべてを思い出したからだ
自分が記憶を失う前のイドニアで仲間を失った事やナナやクロエの事
だが今の彼には自分たちの仲間を殺したエイダ・ウォンへの怒りで頭が一杯だった

「ピアーズ、エイダ・ウォンはどうしてる?」

サナギを燃やしている隊員たちの姿を見ていたピアーズはクリスに呼ばれて返事をしたと同時に彼からエイダの名前を聞いて目を見開いた
彼にエイダの事は教えていなかったはずだ

「記憶戻ったんですか!?」
「…どこにいる?」
「ネオアンブレラを率いていたのはエイダでしたこのテロも「この街にいるのかいないのかどっちだ!!?」

大声で怒鳴りつけ怒りを露にするクリスにピアーズはいます、と答えた
そう中国でエイダの目撃情報が多数あったのだ
クリスは立ち上がると先に歩き出した

「ここから先は俺が指揮をとる」
「待ってください!その前にナナさんに連絡ぐらい入れてやってください」
「後でいい。今はエイダを追うのが先だ」
「……了解」

今でもクリスからの連絡を待っているであろうナナをピアーズは気の毒に思った
だけど上司の命令は絶対、それにナナとの約束もある
ピアーズは武器を構えて彼の後を追いかけた


* * *

携帯のディスプレイとにらみ合っていたナナだが連絡は一切なかった
ピアーズからの連絡ももちろんだがクリスから連絡が来ないかと望んでいる自分がいたのだ
ふぅ、とため息をついてナナはリビングへと向かった
子供向けの教育テレビを見ていたはずのクロエがニュース番組を見ていてチャンネルを変えなければと近づいた時に中国でバイオテロ、という文字にリモコンへ伸ばしかけていた手を止めた

『BSAAが到着しました!何か一言お願いします!!』

レポーターが現場に到着したBSAAにマイクを向けていた、向けられていたのはピアーズだった

「ピアーズおにいちゃんだ!…あっ!!パパもいるっ!!!」
「え…!?」

クロエが指をさした方向を見れば質問してくるレポーターを無視して押しのけるクリスの姿が映っていた
彼の姿が見えなくなるまでナナは一瞬も目を逸らさなかった
そこで画面が切り替わった。クロエは立ち上がって嬉しそうにナナの顔を覗きこんだ

「パパ、いまちゅーごくにいるんだね!あしたにはかえってくるかな?」
「………そうだね………明日、明日には帰ってくる…か、…な…っ」
「ママ?」

堪えきれずにナナは涙を零してクロエを抱きしめた
泣いている母親に気がついているのかいないのかわからないがクロエは口を開く

「パパが帰ってきたらクロエいっぱいあそんでもらうの」
「うん」
「あとねピアーズおにいちゃんともあそびたい、ピアーズおにいちゃんだいすき。クロエピアーズおにいちゃんとけっこんしたい」
「…ふふっ、パパがビックリするかも」

優しく娘の頭を撫でてやればクロエはそのままぬいぐるみを握り締めて自分の部屋へと走っていく
そろそろ眠くなったのかもしれない、もしくは早く寝ればクリスやピアーズに会えるのが早くなると思っているのだろう
子供の可愛らしい行動にくすっ、と笑ってナナもクロエの後を追いかけた


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