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白い雪が空から舞い降りていく中をコートを着た人々が歩いていく
そんな中レッドフィールド家では先ほどからおいしそうな匂いが家の中から漂っていてた
くんくんと小さな鼻を動かしてクロエはキッチンへと向かう

「ママ」
「クロエ」
「すごくいい匂いがするー」
「チキンの匂いかな?今日はクリスマスパーティするからね」

クリスマス、と聞いてクロエはキョトンとしていた
やがて彼女は壁にかけられているカレンダーを見たのだが今日は22日だった
母親に教えられた日付とは違っている事に気がついてすぐに指摘した

「きょうは22日だよ?クリスマスはまだだよ?」
「うん……パパがねクリスマスの日はお仕事なんだって、だからちょっと早いけど今日クリスマスパーティをすることにしたの」
「パパクリスマスの日はおしごとなの?なんで?」

仕事と言ってもまだ納得できる年齢ではなかった
どうすればいいだろうか、と悩んでいるところへクリスがやって来てクロエを抱き上げた
抱き上げられたクロエは父親の姿に気がついて嬉しそうに笑った

「パパ!パパクリスマスの日おしごとなの?」
「あぁ…ごめんなクロエ」
「クリスマスの日にパーティしちゃだめなの?」
「駄目って訳でもないが……クロエはパパがいなくてもクリスマスの日にパーティしたいか?」
「うーん……嫌!パパとママとクロエの3人でしたい!」

クロエの答えにクリスは笑うと娘の唇にキスをしてやればクロエも小さな手でクリスの両頬を抑えて同じようにキスを返した
ナナに微笑むとクリスはそのままリビングへと向かった
残された彼女は再び料理に取り掛かるのだがクロエの気持ちがわからないわけでもなかった
自分だってできたらクリスマスの日に過ごしたかったのだがこればかりは仕方なかった
クリスの所属しているBSAAは特殊なのだから


* * *

料理を食べ終えてお腹が一杯になったところでクリスがソファーの下から綺麗にラッピングされた箱をクロエに渡してやった

「少し早いけどパパからクリスマスプレゼントだ」
「ありがとう!パパっ!!」
「よかったねクロエ」

リボンを引っ張って包装紙をビリビリに破いたクロエは箱の中身を開けた
すると中から可愛らしいぬいぐるみが出てきた
実はこれは数ヶ月前にクロエが欲しがっていたぬいぐるみで買わないことを伝えるとダダをこねてなかなかおもちゃ屋から帰ることができなかった
そのぬいぐるみが今自分の手元にやってきたのでクロエは大いに喜んだ

「これ!クロエがほしかったぬいぐるみっ!!!」
「気に入ったか?」
「うんっ!!ありがとうパパっ!!!」

満面の笑みを浮かべてぬいぐるみを抱きしめるクロエの様子にクリスもナナも微笑んでいた
二人にとって娘の笑顔はとても嬉しいものだった
そろそろ遅い時間になったのでクロエを寝かしつけると、クリスとナナは二人で久しぶりの夫婦の時間を過ごす事になった

「ナナ…一緒に過ごせなくてすまない」
「クリスマスの日のこと?大丈夫、気にしてないよ」
「そうか……あ、そうだこれを…」

ソファーのクッションの下から小さな箱を取り出してナナに手渡した
ゆっくりとリボンを解いて箱を開けてみれば可愛らしいペンダントが入っていた
箱の中から取り出して眺めているとクリスがそっとペンダントを取って首につけてくれた

「とても似合ってる」
「ありがとうクリス、すごく嬉しい………仕事、気をつけて行ってきてね」
「あぁ……今日は君を求めてもいいか?」

コクリ、とナナが頷けばクリスはそのまま彼女を抱き上げて寝室へと向かった


* * *

「エスコートしてくれてありがとう。お礼にいいものあげるわ」

口の端を上げてエイダは閉じ込められているBSAAの隊員達に向けてニードルボムを投げた
すると中からたくさんの注射器が出てきて隊員たちの身体に刺さると皆が苦しそうに声をあげ身体が溶けていく
クリスは何度も鉄格子に体当たりした

「やめろ!やめろっ!!!」
「たい、ちょう……」
「フィン!!!」

自分に向けて手を出してくる彼の手を握ろうとしたのだが届かなかった
悔しそうにクリスが顔を伏せていたのだがピアーズだけはサナギ化したフィンの身体の異変に気がついた。何かが出てくる
そう先ほど屋敷内で見た恐ろしい化け物が生まれようとしている

「隊長!まずい!!」

ピアーズの声に顔を上げたクリスは化け物――ナパドゥが生まれてくるのを目にした
後退しながらピアーズはクリスを呼ぶのだが彼は動けなかった
そんなクリスに向けてナパドゥが体当たりすればクリスが吹き飛ばされて同時にピアーズも巻き込まれた
床に倒れこんでいるクリスを持ち上げるとナパドゥは何度もクリスを壁に叩き付けると最後は床に向けて思い切り投げ飛ばした
そのときクリスは後頭部を思い切り打ってしまった

「隊長!!」

銃を撃ちながら自分の身体を引きずるピアーズ
ナパドゥの姿を見つめながらクリスはそのまま目を閉じた


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