第7話


次の日の朝
校門の所に来た所でナナはジェイクの姿に気がついて嫌な顔をした
そのまま通り過ぎようとしたのだが襟首を掴まれてジェイクの方へと引きずられる

「てめぇ無視してんじゃねぇよ、とっとと鞄持て」

鞄を差し出されてひったくる様に取るとナナは教室に向かって歩き出す
素直に従う彼女にジェイクは満足そうに口の端を上げた
その様子をピアーズは職員室の窓から見ていた

教室に着いてからジェイクの机の上に鞄を置くとナナはそのまま自分の椅子に座り携帯を開いた
彼女の待ち受け画面はこっそりと隠し撮りしたピアーズの写真だった
彼の写真を見ながらはぁ、とため息をついた

(昨日ピアくんのお手伝いしなかったからピアくん…私に幻滅しただろうなぁ……それもこれもすべてはこの男が原因だけど…っ!!)
「あ?何睨んでんだよ」

キッと睨みつけてくるナナにジェイクも同じように睨み返した
その時ジェイクは彼女の持っている携帯に目が行きピアーズの写真が見えて眉間に皺を寄せた

「あ、ナナったらピアーズ先生の写真待ち受けにしてる」
「アンナ!そうなの…この間何とか隠し撮りに成功して…」
「…本人に言えばいいじゃない、幼なじみなんでしょ?」

ナナの友達が割り込んできてピアーズの写真の事を突かれて彼女は嬉しそうに笑っている
ジェイクは立ち上がるとナナの携帯を取り上げた

「ムカつく野郎の写真なんて待ち受けにするんじゃねぇよ、今すぐ変えろ」
「け、携帯の待ち受けぐらい、いいじゃないべつに!ジェイクには関係ないでしょ!!返してよ!!」

高く持ち上げられてナナは一生懸命手を伸ばす
その時ピアーズが教室に入ってきてすぐに二人に目が行った
携帯を必死に取り返そうとする彼女の姿に気がついてピアーズは背後からジェイクに近づくと携帯を取り返した

「てめぇ…!」
「ほら」
「あ、ありがとう…ピアーズ先生」

ピアーズから携帯を受け取ってナナは頬をうっすらと赤く染めた
舌打ちをしたジェイクはおもしろくなさそうに席に座った
席に座ったナナにピアーズが小声で話しかけた

「放課後空いてるか?話があるんだ」
「え?も、もちろん!」

彼からの放課後の誘いにナナは嬉しそうに首を縦に振った
そのまま教卓へと向かうピアーズの背中を見送る
当然隣の席に座っていたジェイクは二人の会話を聞き逃すはずがなかった


* * *

放課後
そそくさと鞄の中身を整理して職員室に向かおうとしたナナの前にジェイクが立ち塞がった
その途端自分が鞄持ちをさせられることに気がついた彼女はハッとなって彼に口を開いた

「ジェイク…私ちょっと用事があるから」
「…あの野郎の所に行くんだろ?行かせねぇぞ、てめぇは俺の下僕だろうが」
「きょ、今日は無理なの!」

断って横を通ろうとするナナの腕を掴んで引き寄せる
ジェイクに抱きしめられた状態になり、彼女は顔を赤く染めると必死にじたばたと暴れ始めた

「ちょ、ちょっと離してよっ!!!」
「嫌ならさっさと俺の鞄持て」
「嫌よ!今日は無理だって言ってるじゃないっ!!」

暴れ始めるので彼女を抱き上げてやった、この年になってまさか男に抱き上げられるとは地面に足がつかなくなり足をバタバタとさせて身体を捻らせる

「離してよっ!ジェイクのばか、ばかっ!!!」
「うるせぇ暴れんな!おとなしくしろっ」
「きゃっ…!!」

バランスが崩れてジェイクとナナはそのまま地面に倒れた
咄嗟にジェイクが彼女を庇うように下敷きになったのでナナが彼を押し倒している状態になった
間近で目が合った二人は思わず頬を赤く染める
その時教室の扉が開かれてそちらを見てみれば目を見開いたピアーズがそこに立っていた


130616


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