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ウロボロスを積んだ爆撃機が火山へと墜落した
痛む身体を押さえながらクリスとシェバはゆっくりと歩いていた
その時爆撃機の方からコツコツと靴音を鳴らしながらウェスカーが姿を現した
確かに彼は落ちたはずなのに平気なようだった
銃を構えるクリスを睨みつけながらウェスカーは口を開いた

「やはり最初に貴様を排除しておくべきだったな…クリス」
「泣き言か?らしくないな!」
「貴様だけは殺してやる…」

ミサイルに積んでいたウロボロスに向けて拳を思い切りぶつけてウェスカーは己の体内に取り組んでいく。不気味な色をした触手のような物がウェスカーの腕に巻きついていく
変わり果てていく彼の姿にクリスもシェバも銃を向けた手が下がっていく
赤い眼を光らせて爆撃機の上から降り二人に迫っていく

「これで終わりだクリス」

銃を何発か撃ってみるがウェスカーはビクともしない
ウロボロスは思っていたよりも厄介なようだった、二人は足場に気をつけながら後退する
高台へと追い詰められクリスは悔しそうにこちらへと向かってくるウェスカーを睨みつける
その時シェバがウェスカーの背中にある赤い部分に気がついた触手で覆われている彼の身体に目立つようにある
すぐにクリスにその事を伝えると彼はライフルに持ち替えて背中のその部分を撃ってみた
するとウェスカーが声を上げてクリスを睨みつけると一気にジャンプして二人の元へとやってきた
クリスはシェバに合図すると彼女はその場から立ち去る
シェバがいなくなったことにウェスカーは気にも留めなかった、彼は今クリスを殺す事で頭が一杯なのだ
だがこれが甘かった。シェバはウェスカーの背後へと周り背中を撃つと同時に正面にも同じように赤い部分が現れる。正面には銃を構えたクリスがいた

「終わりだ、ウェスカー」

クリスの放った銃弾が胸の部分へと当たりウェスカーは呻き声を上げた
すぐにシェバもクリスの元へと戻ったと同時に足場が揺れ始めた
ウェスカーはそのまま揺れに耐えられずに溶岩の中へと落ちていく
その時上空からヘリの羽音が聞こえてそちらを見てみればジルが乗っておりはしごを降ろしてくれた
ゆらゆらと揺れるはしごを何とか掴んで先にシェバを上らせるとクリスは思い切りジャンプをしてはしごを掴みシェバとジルに支えながらヘリの中に入る事ができた
安心していたのもつかの間、触手を伸ばしたウェスカーがヘリを掴んでいたのだ

「クリィィィィィス!!!!!」

叫びながらウェスカーはヘリの機体を右へ左へと揺らす
このままではヘリが墜落してしまう

「クリス、シェバあれを使って!」

ジルが指をさした方向にロケットランチャーが積んであった
シェバは一つ取ると先にクリスに渡し、自分も持つとクリスを見つめた

「準備はいいか?相棒」
「いつでも」
「くらえウェスカー!」

照準をこちらを睨みつけているウェスカーに合わせて二人は放った
大きな爆発音が響いた
ウェスカーの姿はなかった。彼は死んだ
クリスとウェスカーの長かった因縁にようやく決着がついたのだ

「死んでいった仲間たちの分よ」

シェバの放った言葉にクリスはナナの事を思い出す
彼女の敵はとれた、これで少しでも彼女の中の悪夢が消えてくれる事を祈る


* * *

自宅で花の手入れをしていたナナは玄関の扉の開く音が聞こえて立ち上がってそちらへと向かう
そこにはクリスが立っていた
彼はうっすらと微笑むとナナも同じように微笑み返した
そしてクリスの背後から死んだと思われていたジルが姿を現して微笑んだ
突然の出来事にナナは信じられないといった顔をしたがすぐにジルを抱きしめた

「おかえりなさいジル」
「心配かけてごめんなさいナナ。もう大丈夫だから…また一緒に出かけましょう」
「えぇ…!」

ジルと抱きしめ合った後、ナナはすぐにクリスへと抱きついた
彼も力強く彼女を抱きしめて嬉しそうに目を細めた

「おかえりなさいクリス…っ!」
「ただいまナナ」


130615


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