第3話


始業式が終わり新しい教室へと生徒たちは移動する
2-Bと書かれた教室にナナは入り出席番号順に座っていく、運よく一番後ろの席になることができたのだがピアーズがなかなか遠い事に気がついて肩を落とした
座席に座り先ほどのピアーズの姿をもう一度思い出す
昔よりも更に身長が高くなって、声も少し低くなっていた。肩幅も広くて男らしかったなぁと思い出せば頬が赤くなる
早くピアーズに自分の存在を知らせたいと思っていたとき何やら教室が騒ぎ始める

「うわ…あいつめちゃくちゃ身長高いぜ」
「やだ、超カッコよくない?」

一人の教室に入ってきた男を見て周りが騒いでいた
ナナもその人物を見て目を見開いた、今朝自分を助けてくれた男だったからだ
さっそく寄って来た女たちにジェイクはうっとおしそうに手で追い払うとそのまま空いていたナナの横の席に座った
まさか自分の隣が彼だったとは、名簿をチェックしてみればジェイク・ミューラーと書かれていた

「えっと……ジェイク?」
「なんだ?新学期早々ブスの横かよ」
「し、失礼ね!!」
「ハッ、怒ると益々ブスだぜ?」

噛み付いてくるナナがおもしろいのかジェイクは鼻で笑う
周りの生徒たちも二人の様子を見てヒソヒソと話し出す
ナナはもう相手にしないでおこう、と顔を横に反らした
その時ピアーズが入ってきたので生徒たちは慌てて席に着き始める
ナナは入ってきたピアーズの姿に顔を明るくさせてジェイクはつまらなさそうに彼を見た

「今日から1年間このクラスの担任を務めることになったピアーズ・ニヴァンスだ。色々と至らない事があるかもしれないが、よろしく」

ピアーズの挨拶に生徒たちは拍手をする
この挨拶で何人かの生徒たちは頭の固そうな先生だと思ったし、真面目そうな先生で良かったと思う生徒もいた

「はぁ…ピアくんかっこいい〜」

デレデレとしながら周りにたくさんハートが飛んでいそうな雰囲気のナナにジェイクはうっとおしそうに舌打ちをすると彼女の頬を摘んで引っ張った

「いひゃいなにひゅるの!」
「うっとおしいんだよ、てめぇのそのマヌケな顔が」
「っ…ジェイクには迷惑かけてないじゃない!」
「そこの二人うるさいぞ!何をしゃべってるんだ?」

いつの間にか声が大きくなっていたらしくピアーズはナナとジェイクに注意してきた
注意された事に彼女は申し訳なさそうな顔をした後勇気を出して立ち上がった
彼女が立ち上がったことに周りの生徒もジェイクもピアーズも全員の視線がそちらに行く

「あ、あの…しゃべっててごめんなさい……それから私ナナって言います!覚えてませんか?小さい時に隣に住んでた幼なじみです!ピアくんピアくんって着いて回ってた子です!!」

ナナの発言に生徒たちはまたもヒソヒソと声を出す

「先生の事ピアくんって……」
「どういうこと?先生とどういう関係なんだろ?」
「みんな静かにするんだ」

ピアーズの一声に生徒たちは話すのをやめて彼を見た
ナナはドキドキと心臓を鳴らしながらピアーズの言葉を待った
覚えているよ、と返してくれるだろうか?
だがそれは彼女の期待を裏切る事になった

「悪いが…記憶にないな。人違いじゃないか?座ってくれ」
「え……」

そっけない態度のピアーズにナナはショックを受けた
自分の記憶の中のピアーズはとても優しくて笑顔が素敵な男の人だったのに
小さい時の約束も覚えていないというのか?
ゆっくりと座るナナをジェイクはただじっと見つめていた
ピアーズの方を見つめれば彼はプリントを配っている、そんな彼とジェイクが目が合うとピアーズが口を開いた

「俺の顔に何かついてるか?」
「……いーや何も、ただクソつまらねぇ教師だと思っただけだ」
「なんだと!?」

ジェイクの発言にピアーズは彼の座席まで行く
二人のにらみ合いに周りの生徒もナナまでもが驚いて見つめる
悪びれる様子もなくジェイクは更に口を開いた

「言っといてやる、俺はてめぇが気にいらねぇ。平和に教師生活が送れると思うなよ…追い払ってやるぜ」
「……望むところだ」


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