第2話


男の手を引きながらナナは学校へと辿り着いたのだが、すでに遅かった
門がすでに閉まっていたのだ。閉じられた門の手すりに手をやって揺らしてみるのだが完全に鍵をかけられている
ガックリと彼女は肩を落とした

「はぁ…新学期早々遅刻だなんて……」
「もう諦めてんのか、こんなの乗り越えればいいだろうが」
「え?」

男は横の壁から簡単に登っていき上に辿り着くとナナに向かって手を伸ばした
差し伸べられた手にドキッと胸を鳴らしながらもその大きな手に掴まり引っ張ってもらうと少し高いところから飛び降りて無事に校内へと入ることができた
確かロビーに新クラスの発表がされているはずだ、とナナは急いで走り出す
やれやれと言った様子で彼女の後を男も追いかけた
ロビーに行けばたくさんの生徒たちで賑わっており仲のいい友人と離れてしまい残念がっている者もいれば、一緒のクラスになれて喜んでいるものもいた
ナナは一生懸命自分の名前を探してようやく見つけることができた

「私…B組か……あ!良かった友達も一緒だ!」

喜ぶナナを見て男も同じようにクラス名簿を見た、彼女の名前がナナって事と男も自分の名前が彼女と同じクラスにある事がわかるとその場から立ち去った

「ねぇ!あなたは何組だった……ってあれ?」

男の姿が見当たらない事に気がついてナナはキョロキョロと辺りを見回す
が彼の姿は見つからない、探そうとしても人が多いため見つけるのは困難だった
始業式が始まるので全員体育館に移動という形になった
仕方なく彼の事は諦めてナナは体育館へと向かった


校長の長い話が始まり眠気がナナを襲い始める
首がカクカクし始めると後ろにいた友人が彼女の肩を突いて小声で声をかける

「ねぇ…私たちのクラスの担任の先生って新しい人らしいわよ」
「え!?そうなの…?」
「うん、後で紹介されるんじゃない?」
「どんな人だろ……怖い人だったら嫌だなぁ」

色々と想像してしまいナナはドキドキと胸を鳴らせる
新学期で心臓をうるさくさせられることは2回ある
一つはクラスだ、まず仲のいい友人がいるかどうかで最初のスタートのテンションが変わる
そしてその次が担任の先生だ、学校で嫌われている先生などが当たるとこれでも最初のテンションが変わるのだ
ようやく校長の話が終わり新しい先生の紹介がされることになった
一人ずつ紹介されていき次の先生が出てきたときにナナは目を見開いた

「ピアーズ・ニヴァンスです」

マイクを通じて聞こえた声
似ている、と思っていたのだが名前を言われて核心が着いた
幼い時に引っ越していった、自分の初恋の相手に間違いがなかったからだ
嘘、と思わず小声で言ってしまい口元を押さえる

「ピアーズ先生には2-Bクラスを担任してもらいます」

しかも自分のクラスの担任をしてもらえることになったのだ
新しい先生が担任になったことにBクラスの生徒たちは少し騒いでいた

「へぇーあの人が担任か…ちょっと厳しそうだねナナ、ってナナ?」
(ピアくんが担任だなんて嬉しすぎる…っ!!!)

嬉しさのあまり友人の声が聞こえていないナナはすでにピアーズとの甘い学園生活を妄想している
そんな彼女を後ろから見ていた男は、ピアーズを見るとふんっと気に入らなさそうに鼻を鳴らした


130418


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -