25


店を閉めてから近くのレストランへやってきた
レストランにしては店はとても小さく人もあまりいない、時間帯によるのかもしれないが。静かな雰囲気で落ち着いていたのでナナは気に入る事ができた
目の前にいるコーディに微笑んで口を開く

「静かな雰囲気ね」
「だろ?昼間でもこんな感じなんだ、だからといって料理が不味いとかじゃないから安心してくれ」
「ふふっ、期待してる」

その時二人の元へと料理が運ばれる
おいしい匂いが二人の鼻をくすぐった。ここの店はハンバーグがおいしい店らしく値段が安い割にはボリュームがすごかったのだ
これを全部食べきる事ができるのだろうか、と喉を鳴らす
ふとコーディの方を見れば彼はお腹が空いていたのかガツガツと食べ始める
自分よりも年上の彼が子供みたいに頬張っているのを見て思わず笑みがこぼれる

「コーディったら子供みたいね、ソースがついてるわ」
「え?あ、すまない…」

ナプキンを手にとってナナはソースを拭いてやる
だがそのときふと、頭の中を過ぎったのはクリスとのデートの事だった
彼も同じようにサンドイッチを頬張って口の端にマヨネーズをつけていた

「ナナ、どうかした?」
「!あ…なんでもない……ごめんなさい自分で拭けるよね」
「いや、気にしてないよ」

謝るナナにコーディは首を横に振る
彼女はまた微笑むと自分も目の前のハンバーグに口をつけた


* * *

お腹を膨らませて家へと足を進める
遅くなったのでコーディに送ってもらうことになった

「恋人は年齢いくつなの?」
「25よ、私より年上なの」
「へぇー!俺と同い年か」

クリスとコーディの年齢が同じだった事に彼は声を上げる
性格も似ていて年齢も同じなのか、とナナは密かに思った

「コーディは恋人はいないの?」
「あー…いたんだけど捨てられたんだ」

彼は昔の彼女の事を思い出してふ、と笑った
そこから口を開いて話し出した

「ほら俺が花屋をやってるだろ?一人でやってるからなかなか彼女との時間を取れなくてね…私と花のどっちが大切なのよ!って言われてそこから一切連絡がないんだ」
「そう…なの」
「俺もこのままじゃまずいと思って従業員を雇おうとした矢先にこれだよ。女ってずるいよなー仕事と自分を天秤にかけてくるから……どちらももちろん大切にしたいんだけどその為には彼女の協力もいるわけだし、仕事がなくなったら彼女を幸せにしてあげることもできない」

コーディの気持ちもわからないわけでもない、だけどその彼女の理由も少しわかる気がした
何の理由も話さずに黙って自分の所から去ってしまったクリスはやはり自分より仕事の方が大事なのだろうか、と…自分と付き合っていたのはただの暇つぶしなのだろうかと…
考え込んでいたナナにコーディは口を開いた

「連絡が来ないって気持ちは少しわかるよ……心配だし、不安になるよな」
「……そうね」
「さ、帰ろうか冷えてきたし」
「うん…」

冷たい風に当たり二人は再び足を進めた
コーディの大きな背中をナナは切なそうに見つめた


130308


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