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ラクーンシティの事件から3ヶ月の月日が流れた
クリスはあれからナナに一切連絡も取らずにヨーロッパで調査を続けていた
連絡は一切しない、そう思っていながらも本当は毎日電話機に手を伸ばして彼女に連絡を取ろうと行動した。彼女の連絡先の電話番号を途中まで押していた事もあった
あの事件の後クリスはショックを受けた、ナナはもしかしたら巻き込まれて死んでしまったかもしれないと、もちろん信じたくなかったので彼は探偵を使ってナナの居場所を探させた
その結果彼女が生き延びて花屋をしている事を知りとりあえずは安心した
店先の番号も教えてくれたがやはり今は連絡を取ることができなかった

「何も言わずに行った事……怒っているだろうな」

本当なら自分の傍に置いておきたい
毎日話したいし、抱きしめてキスだってしたい
だけど自分が関わっている今の出来事に彼女を巻き込みたくはない
その時クリスのパソコンに1通のメールが入った
彼はさっそくそれを開いた。送ってきた人物はレオン・S・ケネディからだった
もちろんクリスは彼の事を知らない。何故自分の連絡先を知っているのかも
だがメールの全文を見て彼は目を見開くと急いで立ち上がった
その内容はクレアがアンブレラに囚われたという内容だったのだ


* * *

「まぁ綺麗な色合い!ありがとうね」

女性は満足そうに花束を受け取ると笑顔でその場を去っていく
そのお客さんをナナも笑顔で見送った
季節はすっかりと変わってしまった。3ヶ月の月日が流れナナも店に段々と慣れてきてお客さんに顔も覚えてもらえるようになった
ナナの方も兄やコーディにクリスやジルの行方を捜してもらっているのだが相変わらず情報はなかった
寒い、と自分の冷えた手に息を吹きかけ中に入ってコーヒーでも飲もうかと考えたときに声をかけられた

「お姉さん」
「はい?いらっしゃいませ」

振り返れば一人の少年がそこに立っていた
ナナは微笑んで少年に近づくと彼はお札を彼女に渡すと口を開いた

「母さんの誕生日に花を贈りたいんだ」
「わかったわ、どれか入れて欲しい花はある?」
「ないよ、母さん花はみんな好きだから」
「ちょっと待っててね」

少年が渡してきたお金で適当に花を見繕うとしたとき彼女はふと少年の方を振り返った
体を震わせている、外で待たせるのも何だか可哀相だったので中に入るように言えば彼は頷いて中に入った
コーヒーの入ったマグカップを渡してナナは花を包む
ちらりと少年に目をやれば落ち着かない様子で周りを見ているそんな彼にふ、と笑うとナナは花束を完成させて彼の元へと戻る

「はい、これでどうかな?」
「わぁ…綺麗だ!母さんも喜ぶよ、ありがとう」
「どういたしまして」

キラキラと目を輝かせる少年にナナは店の入り口まで彼を見送る
少年は頭を下げてその場を去っていく
それと入れ違いにコーディが店に帰ってきた

「おかえりなさい」
「ただいま…変わった事はなかったかい?」
「大丈夫よ。コーヒーでも飲む?」
「そうだな、すっかり冷えてしまったし」

コーディと共に店の中へと入りナナはコーヒーを入れて彼にマグカップを手渡す
受け取った彼はお礼を言うとさっそく口につけた
飲み終えるとコーディは口を開いた

「…よかったら今日食事にでも行かないか?」
「え?」
「あ、いやその…よく働いてもらってるしお礼にと思って…全然変な意味じゃないんだ!嫌だったら断ってくれても構わないし」

慌てて弁解する彼の姿にナナは自分の恋人のクリスの存在を思い出した
別にただの食事だし、後ろめたい事はない
ナナは食事に出かける事にいい、と返事を出した


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