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「おはようコーディさん」
「あぁおはよう」

朝、店の開店準備をしていたコーディにナナは挨拶をする
まさかこんな早くに準備をしていたとは知らなくて彼女はすぐに彼に謝った
だが彼は怒らずに首を横に振った

「俺が勝手にやってるだけだから気にしなくていいよ」
「そう…?でも…」
「…まだラクーンの事件の事もあるだろうし、無理だったら遅めに出勤しても構わないさ」
「……ありがとう、準備してくるね」

ナナは微笑むと店の奥へと入っていく
コーディはその背中を見送って再び作業を始める
奥でエプロンをつけながらナナは先程のコーディの微笑みにふと、クリスの事を思い出した
笑顔や仕草が彼にどことなく似ている
だが彼女は首を振る、クリスの事を思い出すと恋しくなるしラクーンシティの事も思い出して気持ちが滅入るからだ
準備を終えたナナはコーディの元へと戻った

「さっそくなんだけどそっちの花を手前に移動させてくれるかい?」
「わかったわコーディさん」
「コーディ」
「え?」
「さん、はいらないコーディでいいよ。俺もナナって呼んでも?」
「…えぇいいわよコーディ」

二人は微笑むと作業を始めた
移動を終えると次は二人で水やりを始めた
黙々と作業をするナナ見て、コーディは口を開いた

「恋人とはまだ連絡がとれないのかい?」
「……えぇ、ラクーンの事件の前から出張に出てて…そっから一切連絡がないの」
「そうなのか…でもラクーンの事件には巻き込まれてないんだよな?それだけは良かったっていうか……」

コーディは自分を黙って見つめているナナに気づくと頬を掻いて彼女にすぐに謝った
だが彼女は怒ることもせずにふっ、と笑った

「ごめん…」
「ふふ…いいよ。励ましてくれてるんでしょ?ありがとう」
「本当にごめん。友達は巻き込まれたかもしれないんだろ」
「……大丈夫。それより予約のお客さんとかいないの?」
「あ、あぁ!今日は10件ぐらい入ってるんだ」

思い出したのかコーディは慌てる
コーディの慌てる仕草にもナナは目を細めた
自分よりも年上なのに何だか彼が可愛く見えてきた、そしてそれと同時に思い浮かぶのがクリスの姿

「水やりを終えたらさっさとやっちゃいましょ」
「あぁ」


* * *

仕事が終わった頃にはすっかり日が暮れていた
コーディの人柄もあってかお客さんの数は自分がやっていた店よりは人数が多かった
うーんと背伸びをしてからナナが店を出ようとするとコーディが声をかけてきた

「ごめんこんなに遅くまでつき合わせちゃって」
「仕事だから大丈夫、やりがいがあって楽しかったわ」
「…そっか、そう言ってもらえたら嬉しいよ」

ナナの言葉に嬉しそうにコーディは微笑んだ
そして彼は手に持っていた缶コーヒーを彼女に渡す

「これお礼に…」
「ありがとう、じゃあまた明日」
「俺…君の恋人が見つかるように応援するから」

ピタリと足を止めてナナは振り返る
彼は笑顔で彼女を見つめていた
その表情にナナも自然と笑顔になるとそのまま家へと足を進めた


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