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ラクーンシティを脱出してから数日後
ナナは兄と共にラクーンシティを脱出に成功、その後ラクーンシティからかなり離れた街にやってきていた。兄が用意してくれたアパートに一人住んでいた
あの光景が今でも忘れられない、毎日不安だった
ジルに連絡をかけても繋がる事はなく最悪の事態まで考えてしまった
そう、ラクーンシティは政府の滅菌作戦により跡形もなく消えてしまったのだから

「クリス…今どこにいるの?」
「ナナ」

兄が食料を持ってやってきた
元気がない妹を心配して彼は毎日彼女の元へ食料を運んできてくれていた

「食料買って来たぞ、冷蔵庫に入れておくからな」
「兄さん…いつもごめんなさい」
「いいんだ…あんな事があったんだ、仕方ないさ。それよりいいニュースがあるぞ」
「何?」

冷蔵庫へ食料を詰め終えた兄がナナに微笑んだ
もしかしてジルが生きていたのだろうか、と期待した

「俺の友達が花屋をやってるんだが、是非ナナにも一緒に働いて欲しいって」
「あ、そ、そうなの……」
「……ごめん、ニュースってのはそれだ。友達の事じゃなくてごめん」
「いいの。私もいい加減気持ちを切り替えて働かないとって思ってたから」

兄に微笑んでナナは大丈夫、と答えた
気持ちを切り替えるかのように兄はさっそく仕事場に行こうと彼女を外へと誘った
確かにこの街に来てから一度も外へと出ていない
気分転換の為にもナナは頷いて準備をした

ラクーンシティと変わらずこの街も穏やかだな、とナナは車の窓から景色を見つめて思った
人々が平和に毎日を過ごしている。この光景を思い出さない訳ではない
クリスと過ごしたあの町が消えてしまった事はやはりショックだ
一軒の店の前に止まり、兄に続いて車から降りる
自分がやっていた店と似ている、小さいけれどたくさんの花が置いてある

「コーディ!妹を連れてきた」
「待ってたよ!」

店の中から出てきた男――コーディは兄と抱き合って挨拶をする
ナナは少々驚いて彼を見つめていた

「彼女が?」
「そうナナだ、ナナ彼はコーディだ。この店を経営してる」
「よろしくナナ」
「あ、はい…よろしく」

コーディと握手を交わすナナ
驚いた表情のナナに兄が声をかける

「どうしたんだ?」
「あ……私、女の人が経営してると思ってたから…」
「ハハッ!そりゃそうだ、俺みたいな男が花屋をやってるって言うとみんな驚くからね」
「安心しろよナナ、こいつはゲイじゃないから」

変な事言うな、とコーディは兄を小突く
いたずらっぽい表情で兄はコーディを見つめた
仲の良い二人の光景にナナも思わず笑みを浮かべた

「さっそくだけど明日から来れるかい?」
「はい…大丈夫です」
「よかったなナナ、じゃあ今日は帰るぜ」

またな、と兄はコーディの肩に手を置く
ナナもコーディに手を振ると兄に続いて車へと乗り込んだ

車に乗ってから兄が口を開いた

「やっていけそうか?」
「…えぇ」
「コーディは本当にいい奴だから何も心配はいらないさ」
「……うん、ありがとう兄さん」

兄はナナに微笑むと車を走らせた


130227


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