第9話 He is a murderer


目を覚ましたビリーは隣にナナがいないことに気がついて体を起こした
ベッドの下に散らばっている下着とズボンを履いて寝室から出る
タンクトップを着て下着姿のナナがキッチンで朝食を作っていた
彼女はビリーの気配を感じて振り返り彼に微笑んだ

「おはようビリー」
「あぁ、おはよう」

後ろから彼女を抱きしめて挨拶のキスを交わす
そしてそのままフライパンを覗き込んでみればスクランブルエッグを作っていた
上手そうだな、と呟けば当然よ、と返された
作り終えると皿に移して二人で朝食を始める

「今日も学校なんだけど午前中で終わるから…昼はどこか食べに行く?」
「例のパスタの店でいいぜ」
「いいの?他にも食べたいものがあるんじゃないの??」

ナナが気遣って言うのだがビリーは首を横に振ってコーヒーを飲む

「ナナの笑顔が見れるあの店がいいんだ」
「っ…!」

一気に顔が赤くなり、身体中が熱くなった
何気ない一言だったのかもしれないのだがナナにとってはとても嬉しかった
彼女は急いで朝食を済ませると学校に行く準備を始める
玄関まで行くナナをビリーも追いかける

「じゃあ…行ってくるわ」
「あぁ」

キスを交わしてビリーはナナの背中を消えるまで見送った
そして家の中に入ろうとしたときだった、気配を感じて振り返ればピーターがそこに立っていたのだ

「何の用だ?」

彼を睨みつけるビリーだがピーターは自分の手元の紙とビリーを見比べるとニヤニヤ笑い始めた
そんな彼の不気味な笑いにビリーも眉間に皺を寄せた

「へへへへ…っ、やっぱり…」
「おい、何だその紙は?」
「ナナを救わなきゃ…僕が…」

ピーターはそう言うとそのまま走り去っていく
後を追いかけようとしたのだが想像以上の足の速さに追いつけなかった
一体あの紙はなんだったのだろうか?
嫌な予感がしていた


* * *

「おはようナナ」
「おはようサラ!」

授業の準備をしていたナナにサラが声をかけた
そしてサラは彼女の機嫌がいい事に気がついてニヤニヤ笑い始めた

「何?もう新しい彼氏でもできたわけ?」
「……えぇ、まぁ…ね」
「今度紹介してよね」

紹介、という言葉にナナは苦笑しながらいつかね、と答えた
そのままサラは自分の机へと戻っていく、それを見送ったナナは机の中に手を伸ばして紙が入っていることに気がついた
なんだろう、と紙を捲って目を見開いた

「な、に…これ……?」

紙を開いてみれば"23人の民間人殺害"と書かれた新聞記事とビリーの写真
そしてペンで"彼は殺人者!!"と書かれていた
一体誰がこんなことをしたのだろうか?どうしてビリーの事を今更こんな風に言うのだろうか?
ナナは急いで紙を握り締めて教室の中を見渡す
いつも通りに先生が来るまで各々過ごしている、友達としゃべっている者や自習をしている者…
この中に犯人がいるのだろうか…
その日の授業の内容は彼女の頭の中には入らなかった



ラストへと進んでおりまする
120712



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