18


喫煙所に来たクリスは懐から煙草を取り出し、そして一緒に携帯電話も取り出すとナナへと電話をかける
あのデートから数ヶ月の月日が流れてからも二人の仲は相変わらずだった

「もしもし?」
「ナナ、今大丈夫か?」
「うん、どうしたの?」

煙草を口に含み煙を吐き出すとクリスは再び口を開いた

「3日ほど休みが取れそうなんだ、今度旅行にでも行かないか?」
「え…ほんと?クリスが大丈夫ならいいよ」
「決まりだな!今夜家に行くよ」
「うん、待ってるね」

電話を切り終えてクリスは嬉しそうに口の端を上げた
それはナナも同じで受話器を置くと再び花の手入れを始めた
その時喫煙所で寛いでいたクリスの元へとジルがやって来た
どうやら今の会話を聞いていたらしくニヤニヤと笑っている

「旅行ね…おみやげ期待してるわ」
「盗み聞きなんて性質が悪いぞ」
「あら人聞きの悪い…あんなに大きな声で話してたら嫌でも聞こえるわ」

缶コーヒーを一つクリスに渡しながらジルは隣に座った
それを受け取った彼は蓋を開けて一口口に含んだ
今夜ナナの家に行ってどこに行こうか考えるだけでも楽しみだった
さっさと仕事を終わらせて行かねば

「ちゃんといい所に連れて行ってあげないとね」
「そうだな…彼女の家に行く前にパンフレットとか持っていくか」
「その前にさっさと書類整理しないとね」

痛いところを突かれて慌てて煙草の火を消して立ち上がったときだった
慌てた様子でバリーが喫煙所へと入ってきた
その様子にクリスもジルも不思議そうに見ていた

「二人ともここにいたか!すぐに出動だ」
「出動?どうしたんだ?」
「ブラヴォーチームの消息が途絶えたんだ、俺達もすぐに向かうぞ」

それを聞いたクリスとジルはお互いの顔を見て頷くとすぐに喫煙所から飛び出した
ウェスカーから事情を聞いてアルファチームはすぐにヘリへと乗り込んだ
乗り込む前にナナに電話しようと思ったのだがその間もなく心の中で謝罪しながら彼は救出へと向かった



その日の夜
いつまで経っても来ないクリスにナナは心配そうな顔をしながら電話の前で待っていた
急な仕事で何かあったのだろうか?だけど彼は必ず電話をくれていた
もしかして事故にでもあったのだろうか?
嫌な考えばかりが頭の中をよぎる

「クリス……どうしたの?」

窓から景色を見つめながらナナは呟いた



* * *

「ジル!大丈夫か!?」

ジルに襲い掛かろうとしていた犬をクリスが銃で倒す
彼女へと駆け寄り身体を起こしてやる、ふと前を見てみれば他にも数頭の犬がこちらに向かってきていた
先にジルを逃がしてやりクリスとウェスカー、そしてバリーは応戦しながらも不気味に佇む館の中へと逃げるのだった

(大変な事に巻き込まれてしまった……だけどナナ、俺は必ず君の元へ帰る)


130119


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