ハッピーエンド三秒前


姿を変えて飛んでいってしまったティナを追うために一行は一度フィガロ城へ向かう事となった
そこから地中に潜ってコーリンゲンへと向かいティナの情報を掴む
フィガロ城へとさっそくやってきた一行だったがマッシュは久しぶりに帰ってきた我が家に心を躍らせた

「懐かしいなーちょっと城の中見てくるぜ」

そう言って走り出してしまったマッシュにエドガーは苦笑した

「マッシュのやつ…」
「仕方ないな、家に帰ってきたのは数十年ぶりなんだろ?今日は休ませて貰うぜ」
「あぁ…そっちの部屋にベッドがあるから好きに使ってくれ」

ロックとセリスは頷くと二人は言われた部屋へと向かうエドガーは二人を見届けるとマッシュの後を追いかけた



「マッシュ」
「兄貴?どうしたんだ」
「…せっかくだからナナに会ってきたらどうだ?」
「ナナって…小さいときからずっと一緒に遊んでた子か?」

ふと出てきた懐かしい名前にマッシュは遠い記憶を蘇らせる
ナナは自分達より2つ年下でよく自分達と一緒に遊んでいた、妹のように思っていたのに成長するにつれてそれは恋心へと変わっていく
きっと自分だけではないエドガーだってそうだ、彼女に恋をしていたに違いない

「…もう覚えてないんじゃないか?」
「そんな事ないぞ、お前が出て行ってから彼女は毎日寂しそうな顔をしていたからね」
「……」

"エドガー!マッシュはどこにいったの!?いつ帰ってくるの!?"

あの日泣きながら自分の服を掴んできた彼女を見て何度胸を痛めたか
だがコインで決めたあの賭けは間違っていないと

「…とにかく図書室にいると思うから行って来い」
「あぁ…けどわかるかな?俺の事…」
「わかるさ、それよりナナを見て腰を抜かすなよ?ものすごく綺麗になったからな」

女になら誰でもそう言うくせに、とマッシュは少々呆れていた
しかしそういった時のエドガーの目は明らかに違っていた
彼は背中を向けてそのまま歩き出す

「俺では…ナナを慰める事はできないからな」
「兄貴……」

エドガーはナナを好きだったのだろう、だけど王位を継ぐことになってしまった自分では彼女を妻に迎える事はできない。彼女はメイドをやっていた母親の娘なのだから
彼はあの日王位を継いだと同時に、ナナも失う道を選んだ


* * *

図書室に来てみれば人の気配がなかった、しかし奥の方で聞こえた小さな音にマッシュはそっ、と覗いてみた
はしごに登って本棚の一番上の埃をぞうきんで拭いている女の姿が目に映った
こちらを向かないからナナとはまだ限らない、彼女の顔を覗き見ようとしたときマッシュの足元に積んであった本を蹴ってしまいそれに気づいた女がこちらを見た

「誰…!?ぁ…きゃっ…!!」
「危ないっ!!」

はしごからバランスを崩して落ちてしまった女をマッシュは受け止めた
彼の腕の中に落ちた女を見て彼は息を呑んだ
彼女はナナだった…だが少女の時の面影はなく一人の女性として…とても美しい女になっていた

「ごめんなさい…ありがとう…」
「もう少しで大怪我するところだったな、ナナ」
「はい…って、どうして私の名前を…?」
「久しぶりだな…俺だよ、マッシュだ」

マッシュと名前を聞いてナナは驚きのあまり両手で口を覆う
最後に彼を見たときの姿と大分変わっていて誰だかわからなかった
けどニコッと笑ったときの表情は幼い頃の彼を思い出させた

「マッシュっ!!」
「ただいまナナ」
「いつ…戻ってきたの?」
「ついさっきだよ…兄貴から居場所を聞いたらここにナナがいるっていうから」

ふわりと甘い香りが漂う
ナナがマッシュの首に両手を回して力強く抱きついたからだ
禁欲をしていたはずなのに…彼女の前ではそれも通用しないようだ

「おかえりなさい…帰ってきてくれて嬉しいわ」
「あぁ……何も言わずに出て行ってごめんな」

ピクリと彼女の肩が反応した、ナナは彼から少し離れて口を開いた

「エドガーから聞いたわ…コインで賭けをして自由を手に入れたって……」
「あぁ…それで俺は城を出てダンカン師匠に出会って、毎日修行をしてた」
「……私は毎日あなたの事を思ってたわ」

いつ帰ってきてもいいようにマッシュの部屋を掃除していた、彼が好きな花を飾っていた…彼が好きなお茶も用意していた
長い間自分を想ってくれていたナナが愛しくて彼女を力強く抱きしめる

「…しばらく兄貴達と一緒に行動することになった」
「…また出るのね」
「あぁ……けど全部片がついたら、お前を迎えに行くから…一緒に国を出よう」

マッシュの言葉に少々驚いたがナナは頷いた





エドガーも好きですがそれと同じくらいマッシュも好きです、禁欲してても好きな女の前だと抱きたいとか想ってるといいよwエドガーもヒロインが好きですが一国の王である彼が使用人とは結婚できないだろうし同じようにマッシュもヒロインの事が好きだった為、信頼している弟になら彼女を任せられるだろうと自由とヒロインを弟に渡したという設定です。ブラボーフィガロ!
レイラの初恋
120913



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