恍惚ロマンチカ


「なまえ殿、今夜私と一緒に過ごしてくれませんか?」

壁際に追い詰められたなまえはどうやってこの状況から逃げ出そうか考える
だが郭嘉は逃がさないようにと彼女の顔の横に両手をついて自分の腕の中に閉じ込めるようにし、その甘い顔で見下ろしている
大抵の女性ならこの笑みで堕ちてしまうのだろう、なまえも彼の微笑みに負けてしまいそうだった…だが

「け、結構です!」
「おや、つれないですね」

なまえは少し屈んでなんとか郭嘉の腕の中から抜け出し、歩き出す
だが郭嘉もその後をついて来た

「どうしてついて来るんですか?」
「なまえ殿は何がお気に召さなかったのか気になってね」
「稲ちゃんと星彩が言ってました…「郭嘉殿には気をつけろ」って」

なるほど、と郭嘉は納得した
稲姫と星彩になまえは言われていた、郭嘉は女性が大好きで女性なら誰にでも声をかけているような軟派な男だと…なまえは郭嘉の事が気になっていたのだが、確かに彼は女性によく声をかけているし自分より綺麗な女性はたくさんいる。
自分など郭嘉に相手をしてもらえないだろう

彼に先ほど誘われたときは本当は嬉しかった
今夜一晩だけだったとしても……



「うっ……」

突然うめき声が聞こえてなまえは振り返って目を見開いた
郭嘉が胸を押さえてその場に跪いていたのだ、なまえはすぐに駆け寄って郭嘉に声をかける

「郭嘉殿!どうされたのですか!?」
「……が」
「え?」

郭嘉の声が聞き取りづらかったためなまえが顔を近づけた時だった
後頭部をグイッと押されて唇に温かい感触が当たった
目の前には綺麗に整われた郭嘉の顔がそこにあった、切れ長の瞳と目が合ってしまい慌てて目を閉じる。あのまま開けていたら吸い込まれそうになっていた

しばらくして唇が離された

「かく…か…殿」
「これが私の本気だよ」

郭嘉は立ち上がってなまえに手を差し伸べる、大人しく彼女は手を握って立ち上がった

「わかっていただけたかな?貴方に対する私の気持ちが…」
「……いきなりキスするなんて酷いです」
「これも軍略のひとつですよなまえ殿」

クスクスと笑い出す郭嘉、まったくこの男は何を言っているのだろうか
だがその軍略にはまってしまった自分がいる
郭嘉はなまえの顎に手をやった

「今夜私と過ごしてくれませんか?明日も…この先もずっと…ね」




(時間が許されるまでずっといっしょに…)




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郭嘉の甘夢目指して書きました…甘くなってるか微妙ですが…
自慰
120122


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