馬鹿の見る夢


「えー!あんた本気で言ってんの!?」
「あんな男やめときなよ〜なまえちん」



城の周りをぶらぶらと歩いていた正則はふと、女子たちの声に気がついてそちらに目をやった。見れば先ほどの大きな声は甲斐姫とくのいちだということがわかった
あの二人に絡めばやっかいなことになる、と普通ならその場を去るはずだった。だが二人の側にもう一人人物がいた。その存在に気づいて正則は素通りできず声をかけようとした

「なまえ、本当にあの馬鹿が好きなわけ!?」
「う、うん…」
「えーウソ〜」

正則はそれを聞いて思わず物陰に隠れた、どうやら好きな男の話をしているらしくなまえの好きな相手を聞いて甲斐姫とくのいちは呆れたような声を出していた

(なまえの好きな男…!?い、一体誰なんだよ!!)
「どうしてなの!?やめておいたほうがいいわよ」
「そうよ〜なまえちんまで馬鹿になっちゃう〜」
(さっきから馬鹿馬鹿って…一体誰の事なんだよォ!!)
「でも…あぁ見えてすごく優しいんだよ」

頬を赤く染めて優しく微笑むなまえ、その笑顔に正則までもが頬を赤く染める

(馬鹿……ハッ!も、もしかして頭でっかちか!?それとも清正!?)

正則はなまえの事が好きだった。小さい頃から一緒に育ってきた、当然好きになる。だが三成や清正も彼女の事が好きだった、自分も好きだといえば二人から馬鹿にされたように笑われた

『なまえが貴様を好きになるとは思えんがな』
『もう少し考えて言え、馬鹿』
「うおおおおおっっ!!馬鹿馬鹿うっせぇなっっ!!!」

正則が大声で怒鳴った
それに驚いた3人の娘たち、4人の間で時が止まった
そしてその時間を破ったのが甲斐姫だった

「あぁっ!あんた何人の話盗み聞きしてんのよっ!!」
「最低〜乙女の敵ね!不細工〜」
「う、うっせぇな!お前らがこんなところで勝手に話してたんだろ!!」
「これだから馬鹿は!どっから聞いて……なまえ!?」

3人から逃げるようにしてなまえは走っていった、甲斐姫が声をかけるもすでに遅くそしてすぐに正則に詰め寄った

「あんた!さっさとなまえを追いかけなさい!」
「はぁ!?なんで俺がそんなこと…」
「いいから早く!!」

甲斐姫の迫力に正則は何もいえなくなりしぶしぶ後を追いかけた



「うおーいなまえ」
「正則…!」
「お。いたいた」

桜の木の下にいたなまえ、隣に正則が座り込んだ。そして彼は頬をポリポリと掻きながら口を開いた

「あのよ…盗み聞きしてて悪かったなァ…」
「……ううん、いいの」
「なぁ」「あの」
「な、なんだよ…」
「ま、正則こそ何?」
「おめぇから言えよ」
「えっと……話どこから聞いてたの?」

なまえの質問に正則は正直に答えた。なまえに好きな男がいて甲斐姫やくのいちからすればその男は馬鹿でやめておいた方がいいと

「馬鹿馬鹿ってよぉーで、誰なんだ?」
「………」
「三成や清正にはぜってぇー言わねぇからよ!俺にだけ教えてくれよ」
「……り」
「え?」
「…正則が好きなの…」

正則はなまえからの告白に思わず身体が固まってしまった
彼女が好きだったのは三成や清正ではなく自分だったのだ、正則はそれに気づくと立ち上がって思いっきり雄叫びを上げた

「っしゃあああああっ!!やったぜっ!!!」
「ま、正則!?」
「俺も!俺も昔からお前の事が好きだったんだぜ!なまえ!俺たち両想いだったってことだろ!?超嬉しいぜっ!!!」
「正則…っ!」

なまえは嬉しくて彼に抱きついた


鹿
(三成!清正!とっととこんな戦終わらせてさっさと帰ろうぜぇぇぇっっ!!!)
(どうしたんだあの馬鹿?)
(変な物でも食ったんだろう)


***
正則のキャラ全然嫌いじゃないですよw彼の言葉に何度笑わせられたかww
淑女
120102


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