君の愛する人になれたらと何度神に願っただろう


庭に綺麗に咲く一つの花
撫子の花だ…それを撫でながら愛おしそうに撫でるなまえ

「なまえ殿」

彼女は後ろを振り返ってその人物に微笑むとゆっくりと立ち上がる
声をかけてきたのは真田幸村だ、彼も同じように優しく微笑むと撫子の花を見つめた

「綺麗ですね」
「えぇ…この花、私が好きな花でもあるんです」
「そうですか…」

あっちにも花がある、となまえは歩き出そうとしたのだがその手を幸村が掴んだ
掴まれた腕にドキリ、と心臓が鳴った

「なまえ殿、明日はあなたの嫁入りでもある大事な日なのです…今日はもう部屋にお戻り下さい」
「……」

そう、彼女は明日徳川へと嫁入りをするのだ
それも相手は徳川家康、正室ではなく側室として彼女は嫁に行く
好きな相手と結婚するなどこの時代では叶わない事なのだ

「幸村様…私は嫁になど行きたくありません」
「……お気持ちはわかります、ですが…」
「幸村様は私の気持ちなどわかっておりません!私は幸村様が好きなのに…っ!」

なまえの告白に幸村は驚いたような表情を浮かべた
そのまま彼の胸へと抱きつくなまえ
薄々彼女の気持ちには気づいていた、自分にやたらと話しかけてくることや鍛錬をしているときに嬉しそうに目を細めて自分を見つめている姿など
幸村は苦しそうに目を閉じ、なまえの体を突き放した

「幸村様…!?」
「なりませんなまえ殿…私のような者があなたを幸せにはできません…」
「っ…!!」

涙を浮かべてなまえはその場を走り去った
残された幸村はぎゅう、と己の拳を握り締めた

「どうかお元気で…なまえ殿」






初の幸村夢、そういや幸村の無双演武やっておりませんやww
彼女の為に泣いた
120708


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