いつかの終焉に彼女は泣いていた


1600年―関が原の戦い……
清正は今、その戦場に居た。三成と別れた彼は今徳川軍に身を置いていた
やはり最後まで気がかりだったのは自分が愛した女なまえの事だった
だが彼女は豊臣に、三成の側にいることを選んだのだ
彼女がそう決めたのなら自分も覚悟を決めた


「秀秋が裏切っただと…!?」

三成の元にその知らせが届いた、彼は信じられないといった様子で足元がふらついた、それをなまえが支える
これで西軍は負けたも同然だった。これからどうするべきなのか?兵士達も負けたも同然に動揺している

「三成様…お気を確かに、私がついてます」
「なまえ……」
「左近だって貴方を信じてます……私も前に出ます」
「な…!何を言っているのだ!?」

己の獲物を構えるなまえに三成は駄目だと彼女の腕を掴んだ
だがそんな彼に彼女は優しく微笑んだ

「大丈夫です…少し行って敵の数を減らして来ます」
「なまえ…お前まで失ったら俺は…」

俯く彼の頬を優しく撫でてなまえは本陣から飛び出した
三成はその背中を見つめて唇を噛むと、次にどう行動に出るか考えた



「あの砦を落とせば本陣までもうすぐだっ!!石田三成の首もすぐそこだっ!!」

兵士達の士気が上がり砦を攻めていく、ここまでくれば敵の本陣まではもうすぐだった
いよいよか、と清正はぐっと獲物を握り締めて砦へと飛び込んだ
守っていた兵士を蹴散らす。ここの砦を守っている大将がいるはずだ、と彼は辺りを見回して目を見開いた
そこに武器を構えたなまえが立っていたからだ

「なまえ…!?」
「来ましたね清正……三成様の所には行かせません」
「っ…!!」

一歩踏み出してなまえは清正に攻撃を仕掛けるのだが彼はそれを受け止める、次々と攻撃を繰り出す彼女に清正は反撃することができなかった

「どうしたのです?何故攻撃を仕掛けてこないんですか?…あの人の為に負けてくれるのですか?」
「違う…っ!!」

清正はなまえを弾き飛ばした、彼女は地面に倒れこむが再び身を起こして武器を構えた

バンッ!!

銃声が響いた、なまえの右肩の部分を掠めて血が流れ出てきた。彼女はすぐに右肩を押さえ込んでその場に蹲った
再び銃を構える兵士を清正は力強く押した

「よせっ!!」
「清正様っ!?」

敵を庇う行動をした清正に兵士は驚いたように声を出した
その隙になまえはその砦から逃げ出した、追いかけようとする兵士をまた清正は止める

「…これであの女は懲りたはずだ、俺達が狙う首はあいつではない三成だ!」

そのまま兵士達は三成がいる本陣へと向かった
清正は瞳を閉じて力強く祈った
これでいい、彼女がこの戦場から逃げてくれれば…どこか遠くへ逃げてくれればいい
彼は目を開けて三成がいる本陣へと向かった



「清正…っ!」
「ここまでだ三成」

本陣に清正がやってきたことに三成は驚いていた
そしてふと三成はあることに気がついて清正に問いかける

「なまえはどうした…?」
「……所詮は女だ、逃げたんだろう」
「……そうか」

死んでいないということにホッとしたような気持ちに三成はなった
三成も清正もそうだ、なまえが死ななければそれでいい
愛した女には生きて欲しい、幸せになって欲しいとそう思う

三成と清正は互いに武器を構えた
お互いが一歩踏み出し、獲物をぶつけ合う…清正は目の前の獲物を狩る様に鋭い瞳で三成を追い詰めていく…そして三成の獲物が宙を舞った
それをチャンスに清正は獲物を振り上げた




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