しゅうえんのおと


廊下を誰かが歩いている、足音がどんどんと自分の部屋へ近づいてくるのをなまえは感じた
筆を置いたと同時に襖が開かれた。入ってきた人物は清正だった、彼はそのままなまえへと近づき片膝をついた

「どうなさったのですか?」
「なまえ、話がある」

真剣な声色で話す清正になまえはもういちど座りなおして彼を見つめる
少し間をおいてから彼は口を開いた

「俺と一緒に徳川に来てくれ」

なんとなくだが清正が何を言おうとしていたのかは予想がついていたのでなまえは驚きもしなかった
首を横に振って今度は彼女が口を開いた

「行けません…」
「…お前もわかるだろ?今の徳川には俺達にないものをたくさん持っている、人脈も智謀も…」
「貴方こそわかるでしょ?それを聞いて私が着いて行かないということも……私は三成様の妻よ?」

清正は唇を噛んだ、そうだ彼女は三成の妻なのだ
幼い頃から一緒に育ってきた、三成、正則…そしてなまえと…そんな彼女を清正は愛していたのだがその想いは届かず、彼女は三成の妻となったのだ
わかっていたつもりだった彼女への想いは諦めていたつもりだった

「…この家を、お前を、俺は失いたくないんだ」

想いが溢れ出てしまった
そんな清正になまえは悲しそうな顔をしながらまた首を横に振る

「私も…この家を失いたくない、三成様も…あの人も失いたくない。だけど貴方が出て行くというのなら私は止めない…ここに残ってとは言わない」

彼女の心は三成と共にある、それをハッキリと告げられて清正は立ち上がった
そして部屋を出て行くときに

「…じゃあな」
「…さよなら、清正…」

別れを告げた


自分を止めようとした三成の説得にも答えず、清正は馬に跨ると走り出す
途中でやはり彼の事が気になって振り返ってみれば、三成を支えるなまえの姿がそこにあった。彼女も三成と同じように自分の背中を見つめていた






三成相手か清正相手なのかわからないですが清正ですwこの話は続きます
彼女の為に泣いた
120606


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