ごめんなさいが苦手


肩の部分が肌蹴ていたせいでか、身体がぶるっ、と震えてなまえはシーツをかけ直してうっすらと瞳を開けた
大きな背中が彼女の目に映った
よかった、彼はちゃんとここにいる。とほっと息をついた
背中の主は承太郎だ

1ヵ月半程突然彼は学校に来なくなってしまった
家に行ってもいつも元気で迎えてくれる彼の母親ホリィは姿を見せず、いつも出迎えてくれるのは黒いスーツを着た体格のいい男達で承太郎のことやホリィの事を尋ねても理由を教えてくれなかった
最初は根気欲通い続けていたのだが、その内これ以上通っても無駄なのだろう、と承太郎がいつか帰ってくることを信じて待ち続けることにした
そしてその時が起きる

昨日突然承太郎が尋ねてきた
彼に何があったのかと聞こうとしたが力強く抱きしめられた

「ねぇ……どうしたの?」
「…悪い、何も聞かないでくれねぇか」

その声は普段の彼からにしては想像もできないぐらい切ない声だった
何もいえなくなったなまえはそのまま彼を抱きしめ返す
そしてそのまま唇を奪われて、彼と共に一夜を過ごした
それが今に至る

「……ん」
「…おはよう、承太郎」
「……あぁ」

目を覚ました彼はなまえに返事をするとそのまま起き上がって近くに落ちてたズボンを履いて煙草を吸い始める。なまえは吸わないのだが彼の為に灰皿を家に置いていた、それを使うのも1ヶ月ぶりぐらいなのだが…
なまえは起き上がって彼の背中に抱きついた

「…どうした?」
「こうやって過ごすの久しぶりだなって…思って」
「……そうだな」

ふぅ、と煙を吐き出しながら承太郎は答えた。承太郎は部屋の中をぐるりと見渡した、1ヶ月前…自分がエジプトに旅立つ前と何も変わっていなくて、くくっと笑った

「何…?」
「いや…お前の部屋何も変わってねぇなって…」
「当たり前でしょー?……それともあれ?」

彼女が指を指した方向を見れば彼と一緒に撮った写真が飾られてある

「あの写真が他の男の写真とかに変わってなくてよかったな…とか思った?」
「……あぁ、そうだな」

突然音信普通になってしまったら、不安になって他に優しい男が現れたらそっちに行くのではないか、と思ってしまうのだがなまえにはそんな事は全然なかった
ずっと承太郎を信じて待っていたのだ

「…1ヶ月連絡なかった理由は…言えない」
「……うん、わかった。だから……」

彼が話してくれないのなら仕方ないのだろう
なまえは彼の背中に力強く抱きついた

「ずっと私の傍にいて…離れないで承太郎…っ」
「……あぁ」

灰皿に煙草を押し付けて承太郎はなまえにキスをしてそのままベッドに押し倒した




(悪いななまえ…でもお前を巻き込むわけにはいかねぇんだ)




ジョースター家の因縁に彼女を巻き込みたくないと承太郎は思うんです
淑女
120226


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