見つめあえる距離のまま


※キスかショコラかグッバイかの続きです


――俺はお前を仲間だなんて思っちゃいねぇよ


あれ以来…彼の顔がまともに見れなくなってしまった
ただのクラスメイトと思っていたのに…


「空条はまたサボりか?」

呆れたような声を出しながら出席を取る教師になまえは心臓をバクバクと鳴らしていた
どうか自分を呼ばないで欲しいと祈りながら
だがその祈りは虚しく教師はなまえの名前を呼ぶと彼を探してくるように頼まれてしまった
学級委員になってしまった以上、断ることなどできない
小さく返事を返しながら重い足取りで屋上へと向かう
彼はそこにいた、相変わらず隠しもせずに煙草を吹かしながら
近づいてきた足音に気がついて彼は目線を上にあげる、唇を噛んだなまえがそこに立っていた

「授業…始まってるから教室に戻ってきて……」

それだけ言って立ち去ろうとする彼女の腕を承太郎は掴んだ

「お前自ら呼びに来るとはな」
「い、委員だもの!これくらい当然だわ…」
「……来ねぇんじゃねぇかと思ってたけどな」
「言ったでしょ?私は学級委員だから先生に言われてあなたを呼びに来ただけ…ただそれだけ」

顔を赤くして目を逸らすなまえに承太郎は眉間に皺を寄せた
自分の事を意識して来ないと思っていた。だが彼女は自らの仕事を果たすために自分を呼びに来ただけなのだ
委員だ、仕事だつまらない女だ
手を振り払って先を歩いていくなまえを追いかけて壁に追い詰めると両手で塞ぎ逃げられないようにした

「答えろ、まだ俺のこと仲間だとか思ってんのか」
「そ、そうよ……」
「いい加減にしやがれっ!」

大きな声で怒鳴られてなまえの身体がビクッと反応する
普段冷静な彼がここまで怒りの感情を露にしたのは初めてだったからだ

「俺の気持ちなんてわかってんだろうが」
「わ、わかんない……」
「嘘つけ、あの日てめぇにキスした意味ぐらいわかってんだろ」
「っ……」

挨拶でキスをするっていうのもあるだろう
だが承太郎がそんな事をする人だとは思えない、自分の事が好きだからキスをしたのだ
答えなければならない
彼の気持ちなんてわかっている
なまえは彼の首に両手を回すと唇を塞いだ。彼の返事に答えるかのように





約30の嘘
130902


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