キスかショコラかグッバイか


屋上で授業をサボるのはもはや当たり前のようになっている、ニコチンが切れるとイライラして煙草を吸いたくなってしまう。ポケットから忍ばせていた煙草を取り出して火をつけると煙を灰まで思い切り吸い込んで空に向かって吐き出した
そろそろ来る頃だな、と承太郎は目線を扉へと向けた。足音がこちらに近づいてくるのがわかる真っ直ぐと前を見据えれば扉が開かれて一人の少女が入ってきた
少女は眉間に皺を寄せてこちらへと近づいてくる

「空条くん!またここでサボってたのね」

頬を膨らませる彼女―なまえに承太郎はふっ、と笑って再び煙草を口に含んだ
それを見た彼女はあー!と大きな声を上げると煙草を奪い取った
楽しみの一つを奪われて承太郎は彼女を睨みつける

「煙草なんか未成年が吸っちゃダメじゃない!大体学校で堂々と吸うなんてどうかしてる…」
「お前も一度吸ってみたらどうだ?」
「結構です!!もう…」

まだ火がついている煙草から煙が出ているため煙たそうにしながらもなまえはポケットから携帯用灰皿を取り出してなれない手つきで煙草を消すとそのなかに入れた
喫煙者でない彼女が携帯灰皿を持っている理由は自分がこうして煙草を吸っているからだ。そのまま捨てるわけにもいかずに買ったのだとかで…
彼女は承太郎のクラスで委員長をやっている人間で授業をサボっている彼を連れてくるように教師から毎回命令されている

「毎度毎度俺を連れ戻しにご苦労な事だな」
「そう思うならちゃんと授業に出て、私の身にもなってよ大変なんだから」
「……めんどうなら放っておけばいいだろ?違うか」
「それは……」

そうだめんどくさいと感じるのなら放っておけばいい話だ
教師も他のクラスメイトも困らないのだから、それでも自分を呼びに来る理由は何なのか?

「クラスの委員長なんだから仲間の事を思うのは当然じゃない、他の人にも言われた事あるわ「あんな不良放っておけ」って……でもそれは違う。どんなに悪くてもあなたは大切な仲間なんだから」
「……仲間、ね」

ふぅ、と承太郎はため息をついた
そして自分の顔を覗きこんでいるなまえの細い腕を掴んで引き寄せるとそのまま唇を塞いだ
何が起こっているのかわからない、ただ唇を塞がれて先ほどまで彼が吸っていた煙草の苦い味が感じられた
唇を離されて承太郎が立ち上がれば彼女はその場に蹲ったままだった

「俺はお前を仲間だなんて思っちゃいねぇよ」

屋上の扉が閉められる音が聞こえた
承太郎がこの場から出て行ったからだ
仲間だなんて思っていない

「ぁ……」

そう、自分の事を一人の女として見ている。
先ほどのキスの意味に気がついたなまえは顔を真っ赤にさせて片手で口元を押さえた





気づかされる、ということが書きたくて最後のヒロインの描写も書きたかったのです。最後の所で教師が「どうした?お前顔真っ赤だぞ」って言われるシーンとかも考えておりました
約30の嘘
130415


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