まだ本当の恋を知らない


いつからだろうか?あの人の事を意識し始めたのは
承太郎のおじいさんの事を知ったのは数十年前だ、昔彼の家に遊びに行ったときにニューヨークから遊びに来たというジョセフと知り合ったのがこの時だ
外国人を見たのは初めてだったし、身長も高かったので向こうが微笑んで挨拶を交わしてきても怖くて隠れていた。だがそれでもジョセフは諦めることなく一緒に遊んでくれてすぐに打ち解けた、それから毎年ジョセフが日本に遊びに来るなり承太郎の家に通って楽しくしゃべる日々を過ごしていた
そんなある日ジョセフの昔の写真を見たなまえは心臓が高く跳ね上がるのを感じた
彼の若い頃の写真は承太郎に負けないぐらい男前な顔をしている、ニカッと微笑む様子から昔は相当やんちゃだったのだろうと想像できた。そう言ってやれば何でわかったんじゃ?とジョセフは大声で笑っていた
この時からだったのだろう、ジョセフに恋をしたのは


「好きです…ジョセフさん」

承太郎の母親を助ける為にエジプトへと向かっている途中のホテルで一行は休んでいた
ジョセフとなまえ以外の仲間が買い物に出ているときにジョセフにお茶に誘われて一緒に飲んでいたときに彼女が思い切って気持ちを伝えた
ドキドキしながら答えを待っているとジョセフは目を細めて口を開いた

「ワシも好きじゃよ」
「え…ほ、本当ですか!?」
「あぁ、昔から素直で可愛いし二人目の孫みたいな感じでな」
「……そ、そうじゃないですっ!」

孫として見られているという言葉になまえは興奮して立ち上がった
立ち上がった彼女をジョセフは少々驚いて見つめていると彼女がそのまま近づいてきて彼の膝の上に乗ってきたのだ

「な、何しておるんじゃ!?」
「……私はジョセフさんを一人の男として見てるんです、ジョセフさんはどうですか?私のこと、女として見てますか?」
「……降りるんじゃ」

真剣な目をして言われたのでなまえは叱られた子供のように彼の膝上から降りた
すると頭に大きな手が置かれた
ジョセフの手だった、昔から知ってる大きくて優しい手だ

「なまえちゃん…君はまだ若い。ワシに対するその気持ちは嬉しいが所詮は憧れじゃ……君にはちゃんとふさわしい男が現れるよ」
「いやだ、やだよジョセフさん……憧れなんかじゃない…っ」

泣き出すなまえをジョセフは抱きしめるなどせずにただ頭を撫で続けた
彼女は恋をしたことがないのだろう
だが心配ない、自分の孫がきっと彼女と素敵な恋をしてくれるだろう
見ていてわかる彼は彼女の事が好きだから
早く自分への気持ちが憧れであることに気づいて欲しいとジョセフは願った





昔こんな話を拍手で書いたのですが元の文がもうないのでリメイクです
リビドー
130408


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