それでも僕は君を愛してみたかったんだよ


たとえば好きな人を目の前にして気持ちを抑えられる事などできる人間はこの世にいくらぐらいいるのだろうか?
ほとんどの人間が抑えられる事などできないはずだ
現に今、自分がそうなのだから


「好きですなまえさん…」

女をベッドの上に押し倒して仗助は自分の気持ちを伝えた
押し倒された女は無表情でただ彼を見上げていた、彼なりに精一杯の告白だったのだろう顔が真っ赤だ
若いな、となまえは口の端を上げた

「何笑ってんスか」
「ふふっ…仗助は若いなぁと思って」
「バ、バカにしてんスかあんた!」
「事実でしょ?あんたは16歳の高校1年生。私は28歳でしかもあんたの姪」

仗助を自分の上から退かせるとなまえは身体を起こした
自分達の関係を口に出されて彼は悔しそうに唇を噛んだ、それをなまえは横目で見ていた
そう、仗助となまえは叔父と姪の関係に当たるのだ
まさかの祖父の浮気でできた子供の存在に双子の兄である承太郎と共に驚かされた
そして遺産相続の話の為、承太郎と共にこの街にやってきた
一緒に行動しているうちにまさかこうして好意を持たれるなど思っていなかったが

「……前に俺があんたに相談したときに言ったじゃないスか、人を好きになるのに身分も年の差も関係ないって」
「……まさか相手が私だなんて思ってなかったのよ、同級生か何かだと」
「あんただよ……」

切なそうに彼は言う
今にも泣き出しそうな子犬のような顔をしている
あぁお願いだからそんな目で見ないで欲しい、ここで自分が許してしまってはいけない
なまえはふぅ、とため息をついて仗助の頭に優しく手を乗せた

「あんたはまだ若いから、私と恋人になった時にどれほど過酷な事が待ち受けているかわからないのよ。それに私に対して持っているその気持ちは"恋"じゃないわ"憧れ"よ………さっさと私の事は忘れる事ね。あんたならいい子が見つかるわよ」

それだけ言うとなまえは仗助の方を振り返らずに部屋を出て行った
枕に向かって一発拳をぶつけると彼は口を開いた

「憧れじゃねぇよ………ガキだからってバカにしやがって」

その彼の呟きをなまえは扉の前で聞いて辛そうに目を閉じていた

「………私だって、あんたとこんな関係じゃなかったら…」


数日後
船に乗って帰るなまえたちを仗助は何もなかったかのように明るく見送っていた
祖父の財布を取って明るく笑っている
その表情になまえもふ、と笑った

「……いつか笑い話になる日が来るわ、その時にまた会いましょ仗助」

だんだんと遠くなっていく街を目を細めて見つめた





年上設定ヒロインを思いついたらこんな話ができてました、若い子なら誰でも一度は年上に憧れる事はあるんじゃないでしょうか
自慰
130220


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -