血みどろの正義


「ククッ…どこを狙っている?」
「っ…ウェスカー!!」

クリスは避け続けるウェスカーに何度も銃を発砲していた
だがウェスカーは涼しい顔をしながら簡単にクリスの銃弾を避けていく
一発、また一発と弾の鳴り響く音が響く

「腕は落ちていないようだな…安心したぞ」
「何……?」
「見ろ、ナナに見事に命中したぞ」
「え……」

ウェスカーの指を指す方向をクリスは見て目を見開いた
そこにいたのは自分の銃弾を受けて血を流して倒れているナナの姿がそこにあった
クリスは彼女の名前を呼んですぐに駆け寄って抱き起こした

「クリ…ス……」
「しっかりするんだ!!ナナ!!!」
「相棒さえも守れなかったお前が…大事な女を守ることなどできる訳がないだろう」


****

「っ!!?」

ガバッ、とクリスはベッドから起き上がった
身体中が汗を流していて着ているシャツが肌にベッタリと引っ付いて気持ちが悪かった
夢か、と荒い呼吸を繰り返しながらも安心した
クリスは着ていたシャツを脱いで上半身裸になった時だった、隣でぐっすりと眠っているナナに気がついた

「ナナ……」

夢の中で自分は彼女を殺してしまった
不安になったクリスはそのまま彼女に覆いかぶさり彼女の胸元に耳を当てた
ドクン、ドクン…
彼女の心音が聞こえる、当たり前だがクリスは本当に安心した
そしてそのまま眠っている彼女の顔を見てうっすらと開かれた唇に吸い寄せられるようにキスをした

ちゅ、ちゅっ…ちゅ

「ん……クリス…?」

角度を変えてキスをしているとナナが目を覚ました
クリスはハッ、となって彼女から退いてすまない、と小さく言った
何があったのかわからないがクリスは上半身裸だった、ひょっとして情事をしたくなったのだろうか?

「……シたくなったの?」
「いや…そうじゃないんだ」

直球に彼に聞いてみるがクリスは首を振った、ナナは身体を起こしてこちらに背中を向けているクリスを後ろから抱きしめた

「どうしたの…?」
「……嫌な夢を見たんだ」
「どんな?」
「……君を殺す夢だ」

抱きしめられている腕がピクリ、と反応したのをクリスは見逃さなかった
当然だ。こんなことを言われて驚かない人間などいないだろう

「起こしてすまなかった…シャワー浴びてくる」
「私は貴方に殺されないわ」

ナナの腕を解こうとしたときだった、彼女の言葉にその動作をやめて顔を見れば強い瞳でこちらを見ていた

「殺されない…何があっても……それに夢だわ、クリス」
「ナナ…」
「夢なのよクリス…自分を追い詰めないで」

ぎゅう、と先程より力強く抱きしめられた
クリスはナナの腕を解くと唇を塞いでそのままベッドに押し倒した

「このまま抱いてもいいか…?今夜だけ許してくれ」

クリスのキスから解放されたナナは頷いた
自分と愛し合うことで彼が悪夢から解放されるのであれば






過去に書いた作品と似たような感じになってしまった…クリスだって不安だらけなのよ
亡霊
120217


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