チヨコレイトで6歩だけ


2月14日
この日は世界中の女の子がハリきる日ではないだろうかと思う
クリスの恋人であるナナも朝から材料を買って一生懸命にチョコを作っていた
渡したときに喜んでくれるだろうか、でもクリスの事だから味わわずにバクバクと食べてしまうんじゃないだろうか?色々考えながら作ると自然と笑みがこぼれてしまう
綺麗にラッピングを終えたところでクリスが帰ってきたようだった

「ただいま」
「おかえりなさいクリス……!?」

ナナは帰ってきたクリスを見て驚いた
彼は両手に大きな紙袋を持って帰ってきたのだ、今日も疲れた、など言いながらクリスはそれを持って部屋の中へと入っていく
後を追いかけるナナは彼が地面にそれを置いたのを見て袋の中のものを尋ねた

「ねぇ…それ何?」
「ん?あぁ…チョコレートだ」
「え…それ全部!?どうしたの?」
「今日はバレンタインなんだってな…仕事場に行ったら女の子達がくれたんだ」

クリスは浮気なんてしないだろうし大丈夫だとナナは思っていた
だが彼がこんなにモテていたなんて今まで知らなかった
そりゃ仕事のときは表情も変わって頼りがいもあるだろうしそこに同じ仕事仲間の人間は好きなのだろう

「わっ…これ凄く大きいし綺麗にラッピングされてるね…」
「あぁ…それはジェシカからだ」
「ジェシカ…」

聞いたことのある名前だった、ジルが言うにはクリスの周りをやたらウロウロしているとかで…一度街中でデートしているときに遭遇したことがあった。悪い人ではないのだがナナには苦手なタイプだったのだ

(こんなに力いれてるなんて…よっぽどクリスに気があるんだね…)

なんだか自分のチョコレートが渡しづらくなってしまった
その時クリスがナナに向けて手を伸ばした

「え?」
「ナナからチョコレートはないのか?」
「で、でも……他の子たちみたいに豪華じゃないし…」
「俺はナナの作ったチョコレートを1番に食べたいんだ」
「クリス……」

はナナキッチンへと走って先程ラッピングした箱を持ってクリスの所へと戻った
そして彼の前に箱を持っていく

「はい…チョコレート」
「ありがとうナナ」

箱を受け取ってクリスはナナの唇を塞いだ







仕事場ではモテモテのクリスさん
約30の嘘
120214


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