ふたりごと


「クリス、明日までにこの書類を仕上げておけよ」

バサッ、と音を立ててウェスカーはクリスの机の上に数枚の書類を置いて行く
彼の背中を見送ってクリスはボリボリと頭をかいた
現場に出れば素晴らしい才能が発揮される彼だがデスクワークとなるとどうも苦手だ
その苦手な性格が彼の机の上にも現れている
ごちゃごちゃと散らかっている机に仲間たちから何度片付けろと言われたか

「お疲れ様クリス、書類は家でやったらいいよ。もう上がりでしょ?」
「え?あ、もうそんな時間か」

コーヒーの入ったマグカップを持ちながらやってきたナナが声をかける
彼女に言われて時計を見てみれば定時の時間は過ぎていた
嬉しそうに立ち上がりながら背伸びをして自分の席へと座るナナに声をかけた

「ナナは帰らないのか?」
「私は今日隊長と夜勤なの、だからまた明日ね」
「そうか…お疲れ」

クリスは鞄に書類を入れるとそのまま部屋を出て行った
そして数分後、ウェスカーが部屋へと戻ってきてそのまま自分の座席へと座りパソコンで作業を始めた

しばらく沈黙が続く中何気なく時計に目をやったナナはすでに真夜中を過ぎている事に気がついた
昼間は現場に出たりなどしていたので疲れは当然ある、空になったマグカップに目をやりもう一杯コーヒーを飲もうかと思いつくと後ろに座っているウェスカーに声をかけた

「隊長、もしよかったらコーヒー飲みます………」

そこで言葉は切れてしまった
腕を組んで何事か考え事をしているのかと思ったのだがどうやら眠っているらしかった
ゆっくりと近づいてナナは彼に近づいていき小さく声をかけた
が、相変わらず返事はない
居眠りをするなんて珍しいな、とナナは思った
所詮は彼も人だ。日頃から疲れが溜まっているのだろう、あの隊長が居眠りをしていたなんてクリスに話したらどんな反応をするだろうか?
彼の顔を見ているうちにサングラスを外したくなってきた、そっと手を伸ばしてサングラスに触れそうになった時に手首が掴まれた

「何をしている」
「あ、す、すみません!!」

彼女の手を放すとウェスカーはため息をついた
つまらないいたずらをしてしまった事にナナは後悔した

「私に何をしようとしていた?」
「あ、と…サングラスを外そうとして…」
「サングラス?」
「そ、その…寝顔がどんなのか興味があって…」

ナナの言葉にウェスカーは少々目を見開いて彼女を見る
そしてゆっくりと自分のサングラスを外すとナナを引き寄せた
引き寄せられて驚いて小さく悲鳴を上げた彼女だったが顔を上げた瞬間ウェスカーの顔が間近にあり心臓を高鳴らせた

「お前には何度も見せているつもりなんだがな」
「…だって、私よりも先にいつもあなたが起きてるじゃない」
「今夜私の家に来い。今日こそは見れるかもしれんぞ――私を疲れさせる事ができたらな」

今夜自分が彼に精一杯奉仕をすることになる、その言葉の意味がわかるとナナは顔を赤くさせてウェスカーの胸に顔を埋めた





ウェスカーの寝顔がものすごく気になるのは私だけじゃないはず…
自慰
130520


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