君の足音を背に僕は未来を目指す


珍しく仕事が早く済んだのでレオンは車を飛ばして自宅へと帰ってきた
一緒に住んでいるナナの大好きなケーキを買って彼女がこれを見てどれほど嬉しそうな顔をするだろうか、と想像したらついつい頬が緩んでしまう
玄関の扉を開けて中へと入ったのだがナナが出迎える様子はない
奥へと進んでいきテーブルの上にケーキの箱を置いた、どうやら買い物に出かけているらしく家の中いる気配は感じられなかった
その時ナナが帰ってきたらしく玄関の扉が開かれる音が聞こえた
出迎えてやろうか、と足を進めたがそれを止めた
レオンのいたずら心に火がついたのだ。彼はナナと出くわさないように足音を立てないように奥の部屋へと隠れた
それと同時にふぅ、とため息をつきながらナナが部屋の中に入ってきてテーブルの上に買った食材の袋を置いたと同時にケーキの箱に気がついてキョロキョロと辺りを見回す。そのケーキの箱の横にレオンの車のキーが置いてあった

「レオン?帰ってるのー?」

ナナが声をかけるのだが返事がない
家の中にいるのは間違いないはずなのに呼んでも来ないのはどうしてなのだろうか?
部屋の中を歩き回りまずは浴室へと向かうがレオンの姿はない、トイレの扉もノックして開けてみるがいない
やがて足音が早くなりペタペタとなる音にレオンは目を細めて口の端を上げる
自分を探している彼女の可愛らしいあの足音が好きだった
こちらへとやって来るナナの気配を感じ取ったレオンは彼女の姿を見かけたと同時に両手を伸ばして自分の方へと引き寄せた
急に引き寄せられたナナは小さく悲鳴を上げた

「俺だよ」
「もう、レオンったら驚かせないで」
「すまない」

少し頬を膨らませた彼女の額に自分の額を軽くコツンと立てて謝る
そのまま唇を塞いでやった
彼女の柔らかい髪の毛に指を通しグッと掴んで更に深く口付ければナナは驚いたように唇を離した

「レオン…!」
「すまない、止められなくなった」
「ま、まだ明るいから嫌よ…」
「オーケー…暗くなったらいいんだな?つまり明日の朝まで」

頬を赤く染めたナナはふいっ、と顔を横に反らしてレオンから離れて行く
少しからかい過ぎたかとレオンは彼女の後を追いかけた

「…そんな事言って、朝になったらさっさと仕事に行っちゃうくせに」
「……すまない」
「ううん……私の方こそごめん」

レオンは後ろから優しくナナを抱きしめる
抱きしめられたナナはレオンの手を抱きしめ返してぎゅう、と力強く目を閉じた
アメリカ合衆国のエージェントとなれば仕事も忙しく彼女の為に休みなど合わせてあげられない、一緒に過ごす時間も少ない

「ねぇ…レオンが買ってきてくれたんでしょ?ケーキ」
「あぁ、君の好きなものばかりだ」
「…一緒に食べよっか…夕飯食べた後にでも、その後…一緒にお風呂に」
「大歓迎だ」

ナナからの誘いに返事を返すとレオンはそのまま彼女のこめかみにキスを落とした





とある芸人さんが嫁を呼んだときにペタペタと足音を鳴らしながら走ってくるのが好きだって言っててそれに私も非常に萌えたので使わせていただきました、若干シリアスになりましたがすみません…
泡沫
130508


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