正当防衛です、犯罪にはあたりません


「ストーカーされてるだって…!?」

コーヒーのマグカップが少々乱暴に音を立てた
クリスの大きな声にナナはシーッ、と人差し指を自分の唇に当てた
そして周りを見渡してからコクリと頷いた

「そうなの…後ろから誰かにつけられてるみたいだし、後…し、下着とかも盗まれちゃって……」
「何だって…!?」

恥ずかしそうに言うナナにクリスは怒りが込み上げてきた
自分でさえもまだ彼女の下着を見たことがないというのにどこの誰かもわからないその男はもう彼女の下着を見る所か盗んでいるというのだから
怒りで拳をテーブルに叩きつけるクリスの手をナナは握り締めた

「クリスありがとう…私の為にそこまで怒ってくれるなんて……」
「あぁ…許せないな(俺よりも先にナナの下着を盗むなんて)」
「…でもクリス忙しいよね?やっぱり警察に相談した方がいいかな…?」
「大丈夫だ、俺が解決してみせる。俺に任せてくれ」
「ありがとうクリス!じゃあごめんね…私仕事だから行くね」

そう言って席を立ったナナを見送ったと同時に回りに座っていた客も立ち上がった
その中にはピアーズもおりすぐにクリスに駆け寄った

「隊長…俺たちの天使にストーカーなんていい度胸ですね」
「あぁ……絶対に許さん。叩きのめしてやる」


* * *

数日後
夜道を歩いているナナの数百メートル後ろを一人の男が歩いていた
そうこの男こそがストーカーだったのだ

「へへっ…俺に感づいてやがるな……今日は襲ってやるか」

ニヤニヤと彼が笑っていたときだった
黒いワゴン車がゆっくりと走ってきており彼の横に並んだ
窓ガラスが黒いスモークを貼られているため中を覗き込む事はできない
男は舌打ちをした

「チッ…なんだよこんなに近づいてきやがって…!?」

その時だった
突然車の後ろの扉が開いて中から数人の男が降りて来た
抵抗しようとしたのだが腹を殴られて車に乗せられるとそのまま走り去る


* * *

「うっ……」
「目が覚めたか?」

気を失っていたストーカーが目を覚ますとガスマスクをつけた男たちが立っているのに気がついた
逃げ出そうとしたのだが椅子にくくられている為それは敵わなかった

「だ、誰だ!てめぇら…」
「お前の名前はサム・ペッパー、26歳の無職」
「ど、どうしてそれを…!?」
「ハハッ、まさか自分がストーカーされると思ってなかったか?ここ数日お前を見張ってたんだ」

クリスは男に向けて写真を投げつけた、そこにはサムの数日間の行動が写っていた
サムは目を見開き男に声をかける

「なんなんだ…警察かお前ら!?こんな事してすむと思うなよ!!」
「それはこちらの台詞だ。お前…ある女性にストーカー行為をしているだろう?」
「あ、あぁ…それがどうした?」
「すぐにやめるんだ。そうすれば無傷で帰してやる」

その言葉にサムは笑うとクリスたちに向けて唾を吐きかけた

「やなこった!ようやく彼女は俺のこと意識しかけてんだ……このまま毎日俺の事しか考えられないようにしてやるぜ!!」
「黙れっ!!ナナが考えられなくなるのは俺だけでいいっ!!」
「すぐにストーカー行為をやめろ!」
「嫌だって言ってんだろ!」

大きな声で怒鳴りあう3人
だがサムがやめないという事を聞いたクリスはふぅ、とため息をつくと懐から愛用の大きなナイフを取り出す
それを見たサムは息を呑んだ、それはピアーズや他の部下たちも同じだった

「隊長……まさか…」
「……これだけは使いたくなかったが仕方ない」
「お、おい…何をするつもりだ?」

殺されるかもしれない、とサムは冷や汗をかいた
だがクリスは壁際にいくとコンクリートにナイフを突きたてそれをゆっくりと下に降ろした

ギィギィーー…
「うわあああぁぁぁっっ!!!!やめろっ!!その音はやめろっ!!!!」
「出た…隊長のナイフ殺し」
「あれを食らった奴は数分で情報をしゃべりだすからな…」

耳を押さえながら部下たちは恐ろしい、と小さな声で様子を見つめる
呼吸を取り乱すサムにクリスは声をかける

「どうだ?ストーカー行為をやめるか?」
「だ、誰が…」
ギィギギギィーー…
「うわああああっっ……くっ…こんな馬鹿な拷問でやめるか…っ!!」
「……俺のこの拷問に耐えたなんてすごい奴だな」

ストーカーをやっているやつの執念だろうか
クリスはナイフをしまうと部下に指示を出す、サムをくくりつけていたロープが外されるとすぐに床に押さえつけられた
今度は何をされるのだろうか?

「もう一度言うぞ、ストーカー行為をやめろ」
「…やめるか!」
「……仕方ない、やれ」

クリスが指示を出すと部下たちが男を取り囲み、両手を構える
次こそは全員から殴られるかもしれない…
だが部下たちは男の身体をくすぐり始めた

「ぎゃははははっっ…や、やめろ…っ…!!」
「ならストーカー行為をやめるんだな」
「や、やめねぇつってんだろ……」
「そうか…この拷問はキツイぞ?今までの奴等は数分で終わったんだがな……お前はどこまで耐えられるんだろうな?」

ガスマスクの下からクリスは黒い笑みを見せる
それと同時に部下たちは懐から様々なくすぐり道具を取り出す
サムは血の気が引いた、口ではああいったものの自分は耐えられる事ができるのだろうか?

「巷で流行のアヘ顔とかいうやつになるまでくすぐり続けてやれ」
「わかりました、隊長」
「い、いやだやめろ…うわああああああ」


* * *

「ありがとうクリス、あれからストーカー行為なくなったみたい!」
「よかったな」
「うん!」

前に相談された喫茶店にナナから呼び出されてクリスは微笑む
そして彼は紙袋を彼女に渡した

「これ……ストーカーから奪い返してやった君の下着だ」
「!あ、ありがとうクリス……あ、あの見たよね?私の下着」
「……すまない」
「あ!全然いいの!」

本当は自分の元に置いておきたかったのだがピアーズや部下たちに説得されて泣く泣く返したのだ
結婚すれば毎日見れるようになるから我慢だ、と
ナナは紙袋を自分の鞄の中にいれてクリスをじっと見つめると頬を赤く染めながら口を開いた

「…クリスって本当に頼りになるよね……夫だったらすごく心強いんだろうなぁ…」
「え…!?」
「あ、ごめんなさい!何言ってるんだろ私…ごめんっ!仕事だからもう行くね!」

クリスの頬にキスをしてナナはその場を立っていく
彼女が去ったと同時にピアーズと部下たちがクリスの元へとすぐにやって来た

「聞いたかみんな……ナナが、俺が夫だったらって…」
「はい!聞きました!」
「ちゃんと録音もしましたっ!!」
――夫だったらすごく心強いんだr「くっ…!!みんな!!もうすぐだぞ!!」
「はい隊長!後一歩です!!頑張りましょう!!!!」





この話を思い浮かんだときにこれ夢小説かな?って真剣に考えて載せてもいいものか迷いましたが頭の中でこの話の構想ばかり思い浮かんだので書きました。キャラ崩壊してますが…クリス+BSAA話は結構好きなので…クリスの婚活の為にBSAAは頑張ればいい
レイラの初恋
130405


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