それは愛を撃ち抜く銃声だ


久しぶりに休暇がとれたということもありレオンと、彼との間に生まれた愛する息子を連れて街へと出かけた
昔から女運が悪いと彼は言うのだが街へと出かければ女性たちは誰もが振り返るほどのイケメンだ、逆に自分のような特別美人でもなければ不細工でもない至って普通の女が彼と結婚できた事はとても不思議だった

「だー!」
「なぁにロイ?抱っこ?」
「仕方ないな」

ベビーカーに乗っていた息子―ロイが抱っことぐずり始める
仕方ないな、とレオンは苦笑すると息子を抱き上げた

「お…少し重くなったんじゃないか?」
「もう8ヶ月だもの、最近よく食べるしね」
「そうか…この前まで小さかったのにな。成長が早いな」

健康に育ってくれよ、とレオンはロイに微笑みかけて高い高いをしてやれば嬉しそうに声を上げる
その様子に微笑んでいたナナを見つめると彼は片手に息子を抱くともう片手でベビーカーを押し始める

「レ、レオンいいよ!私が押すから…」
「これぐらい大丈夫さ、普段任せてばかりだからな。今日は甘えてくれ」
「レオン…」

ナナにウィンクすると彼はジャケットの内側からサングラスを取り出してかけると先にベビーカーを押して歩き出す
普段は仕事で忙しくてなかなか一緒に過ごす事ができない、だけど過ごせるときはこうして気遣ってくれて優しい言葉をかけてくれる
そんな彼にいつもドキドキさせられている自分がいる。結婚してもまるで恋人時代の時と何ら変わらない

「どうしたんだ?」
「あ、なんでもない!」

突っ立っているナナに気がついてレオンは声をかけると、彼女は慌てて彼の元に行き一緒に歩き出す
こうしてベビーカーを押して歩いているだけでも彼は絵になる

「すみません、ちょっといいですか?」

歩いている二人の元に一人の女性が声をかける
何かと尋ねれば彼女は雑誌のカメラマンらしく町で見かけたイケメン男性の特集を組むらしいのだ
なるほどレオンが声をかけられるのも無理はない

「あなたと赤ちゃんの写真を1枚だけでいいんですけど」

ナナは女性カメラマンの顔を見てすぐに気がついた
レオンに気がある、獲物を見つけたような感じだった。側に妻の自分がいても狙うとは女と言うものは侮れない
だがレオンは首を横に振った

「すまないが、今は家族と過ごす時間を優先したいんだ。行こうナナ」

彼はそのまま歩き出すのでナナも後を追いかける
少し振り返って女性を見てみれば少し悔しそうな顔をしていて、ちょっとだけ嬉しく感じた

「いいのレオン?1枚だけでも撮らしてあげれば良かったんじゃない?」
「ナナも撮らないんじゃ意味ないだろ?それにいいのか、雑誌に俺が載ってモテモテになっても」
「ふふっ、女運が悪い人だから心配ないわ」
「…泣けるぜ」
「…逆に私だけだったらどうだった?」

ナナの言葉にレオンは足を止めた
そして片方の手で彼女の頬に触れられて、ドキリと心臓が鳴る

「絶対に駄目だな…君は可愛いから変な奴に目をつけられたら困る」
「そ、んな事ないよ……」
「自覚がないのか?益々性質が悪い子だな……」

そのまま頬を撫でられて額にキスを落とされてナナは思わず目を閉じた

「誰がなんと言おうと、君は俺にとって世界で一番可愛いんだ」



後日、レオンに額にキスをされている所を別の雑誌の記者に撮られ「街で見かけた素敵な家族」に載ったのは言うまでもない


こんな男現実にいたら気持ち悪いってのが何故かレオンだと全部素敵に感じます。砂糖吐き出しそうなぐらい甘いのを書こうと思ったらこんなのができました
誰そ彼
130218


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