愛をひとつまみ、ぺろり


身体に重みを感じたのと肌寒さにジェイクは目を覚ました
視界に一番に目に入ったのは自分の上ですやすやと寝息を立てているナナの頭の天辺だった、昨夜愛し合った後そのまま自分の上で果てて寝てしまったらしい
幸せっていうのはこういう事なのだろう、ジェイクはニヤリと口の端を上げるとワザと彼女を自分の上から横に落とした
落とされた衝撃でナナはゆっくりと目を覚ました

「ん…いた…何するのぉジェイク…」
「いつまでも人の上で寝てんじゃねぇよ」
「……だって温かいし」

再び自分の胸板に引っ付いてくる彼女の頬をジェイクは抓った

「いひゃいいひゃい」
「さっさと起きろよ、腹減ったんだ」
「わひゃった」

渋々と言った様子でナナはベッドから身体を起こすと白い肌を彼の前に曝け出す
その様子を見つめながらジェイクは口を開いた

「お前……」
「何?」
「…太ったな」

身体が固まるナナの横腹をジェイクは引っ張る
ぷにぷにしてやがる、と楽しそうに突く彼の姿に彼女は顔を赤く染めてシーツの中に身体を隠した

「何てこと言うのよジェイクの馬鹿っ!」
「さっきから乗っかられてたせいか腰が痛てぇな…」
「そ、それは違う意味ででしょ!?わ、私の方が痛いんだから…」

真っ赤に顔を赤く染めて自分の身体を攻撃してくる彼女が可愛くて仕方がない
実際叩かれても全然痛くも何ともなかった
うぅ、とナナは突然ジェイクの身体を叩くのをやめて小さく呟いた

「……あの子スタイルいいし、細いもんね」
「あ?誰の事言ってんだ?」
「……金髪のあの子」

シェリーの事か、と彼はすぐにわかった
確かにあの実験施設から脱出した日に彼女の身体を見てしまったが女性なら憧れる体型なのかもしれない。無駄な肉は何一つついておらず引き締まっていた
更にナナはいじけ出す

「ジェイクあの子の方がいいんでしょ」
「はぁ!?何言ってんだてめぇ」
「だって私はデブだし胸もないし!その点あの子の方がスタイルもいいし胸もあるもんねっ!ジェイクなんかあの子と付き合っちゃえばいいのよ」
「てめぇ…ふざけんじゃねぇよ!」

逃げ出そうとしたナナの左手首を掴んで引き寄せた
その時だった彼女は引っ張られた自分の左手の薬指に指輪がついていることに気がついた
思わず彼の顔とその指輪を交互に見る、ジェイクはやっと気づいたかと言った様子でため息をついた

「こ、これって……」
「気づくのが遅せぇんだよマヌケ。たくっ…これから決めようとしてるときに他の女と付き合えとか言うんじゃねぇ」
「ジェイク…?」
「……俺と結婚しろ」

彼なりの精一杯のプロポーズだったのだろう、そこまで言うと彼は視線を逸らした
して下さい、ではなく命令形でしか言えない彼の不器用さにナナは思わず笑ってしまうのだが嬉しさもこみ上げてきてボロボロと泣き出してしまう
そんな彼女の涙をジェイクは親指で拭ってやる

「……怒ったり泣いたり忙しい奴だな」
「だって…こんなのイキナリ……」
「俺はお前以外の女と一緒にいる気はねぇんだよ…これが証拠だ。わかったか?」
「うん…ごめんね…」
「……で、返事はどうすんだよ」

答えを待つジェイク
言われなくてももう答えは決まっている
自分だって彼以外の男と一緒になる未来なんて想像できない





俺と結婚してください、とか言わないだろうねジェイクさんは笑
誰そ彼
130123


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