ミルキーリップは今夜だけ


世間はクリスマスで賑わっているのだがナナは普段となんら変わりなく過ごしていた
一緒に暮らしている婚約者のクリスは今日も仕事で帰りが遅くなるだろうと思っていたし仕事上恋人らしい事ができないのは仕方の無い事だ
読んでいた雑誌から目を離して横に置くとうーんと背伸びをする、そのまま時計に目をやれば時刻はすでに夕方の4時だ

「そろそろ夕飯の準備しないと…」

立ち上がった彼女、ちょうどその時家のインターホンが鳴る
返事をして扉を開ければ大きな箱が届けられた、とりあえずサインをして箱を受け取ると彼女は差出人の名前を見て目を見開いた

「クリス…?」

そこに書かれていたのは愛する人の名前
家の中に入って箱を開けてみれば綺麗なドレスが中に入っていた、更に箱の中を覗いてみれば1枚の紙が入っていた
18時までに着替えて、とクリスの字で書かれていた。するとまたインターホンが鳴り出てみれば今度は知らない女性が笑顔で立っていた

「どちら様ですか…?」
「ナナさんですね?私カタリナと申します、クリス様からの依頼でドレスの着替えの手伝いとメイクをしに来ました」
「え?え…?」
「時間がありませんので急ぎましょう」

ずかずかと家の中に入ってきたカタリナに呆気に取られながらも彼女は指示に従うしかなかった


* * *

「これ…私……?」

カタリナが帰ってからナナは鏡に映る自分の姿に混乱していた
クリスから送ってきてくれたドレスはとても可愛くて綺麗なデザインだった。メイクもいつもより少し時間がかかり綺麗に仕上げてもらった
一体クリスはどうしたというのだろうか?18時になるとまた家のインターホンが鳴る
扉を開けてみればスーツを着たクリスが立っていた

「クリス…!?」
「ただいまナナ……思ったとおり似合ってるな」

ナナのドレス姿を見てクリスは頷いていた、ドレスを誉められて何だか恥ずかしくなってしまい少し顔を俯かせてありがとう、と小さくお礼を言った
そんな彼女の額にキスをすると慌てたように口を開いた

「こ、これ…どうしたの?ドレスとか高かったんじゃない?」
「今日はクリスマスだろ?せっかくだからナナに何かプレゼントしたくてな…」
「そうなんだ…でもサイズとかは?一体どうして?」
「ジルに頼んだんだ、数日前彼女と出かけただろ?」

そこでナナはふと思い出した
数日前突然ジルに買い物に誘われて服屋に行った事を、そこでやたら彼女が自分の服のサイズなどを聞いてきたことを思い出した
あの時からクリスの計画は始まっていたのだ

「メリークリスマス、ナナ」
「……ありがとうクリス…すごく嬉しい」
「まだまだこれで終わりじゃないぞ?食事をしに行こう、夜景の見える綺麗なレストランでその後はホテルで一緒に過ごそう」
「……うん」

クリスに抱きついて今度は彼女から唇を重ねた
そのまま先に出て行く彼女の後姿を見てクリスはポケットに忍ばせている小さな箱を握り締める

「まだまだサプライズは続くぞ…ナナ」





クリスにこんなサプライズされたら飛び上がって喜びます笑
誰そ彼
121224


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