クラウンバニーは深夜に踊る
水の流れる音が聞こえる
シャワーから出ている水が浴槽の泡を洗い流していく、すべて洗い終えるとスイッチを押してお湯を沸かす準備をするとクリスは浴室から出て行く
「今風呂沸かしてるから」
「ありがとうクリス」
ソファーで横になっていたナナは大きくなったお腹を気遣いながらゆっくりと体を起こす
クリスもソファーに近づいてそのまま彼女の横に座り大きくなったお腹に手を当てる
「もうすぐだな…」
「えぇ…元気に生まれてきてくれたら何も言うことないわ」
「そうだな」
クリスもナナシもお腹に目をやり微笑む
その時風呂が沸いた音が鳴る、クリスは立ち上がって手を貸してやるとそのまま二人で浴室に向かった
一人で風呂が大変な彼女とここ最近一緒に風呂に入るのが日課になっていた
最初は恥ずかしがっていたのだが、何が起こるかわからないし実際手伝ってもらって随分と助かっている
「痒い所はないか?」
「大丈夫よ」
シャンプーをつけてナナの髪の毛を洗うクリス
最初は下手くそだった彼も今では随分と上手くなった、綺麗に彼女の髪の毛を洗って流し終えると二人で浴槽に浸かった
クリスの足の間にナナが入る形になり、彼女はそのまま彼の厚い胸板に背中を預ける
しかし彼だって男だ。精一杯理性で抑えようとしている
それを誤魔化すかのように後ろから彼女を抱きしめてお腹に手を当てる
「クリス……」
「ん?」
「……当たってる」
尻に感じた違和感にナナは眉間に皺を寄せる
そして首だけを彼の方に向けて頬をぎゅう、と摘んでやった
「痛いぞナナ」
「今は駄目だからね」
「わかってる」
クリスは未だに自分の頬を摘んでいる彼女の手を取ると
そのまま白くて小さい手に口付ける
「けどその子が産まれたら……一杯愛してやるからな?覚悟しとくんだぞナナ」
クラウンバニーは深夜に踊る
妊娠中の妻の為に何でも手伝ってあげる優しい夫クリスが書きたくて…っ
エトワール
120811