愛とは知らずにごめんなさい


車のエンジン音が聞こえる
ナナはベッドから身体を起こして窓へと近づく、夫―クリスが車を走らせて出て行く姿が見えた
昨夜は帰ってきていたのか、と昨日の夜の事を思い出す
ぼんやりとしか覚えていないのだが深夜に帰ってきたクリスは自分が寝ているベッドに入って後ろから抱きしめて眠りについた、ぼんやりとした意識の中で抱きしめてくれるクリスの手に自分の手を重ねて寝た事を思い出した
だが最近はそればかりだ、クリスは深夜に帰ってきては朝早くに出て行くので会って話をしていない。いつも電話ばかりだった
クリスはそれでいいのかもしれないがナナとしてはやはり寂しいし彼の顔を見て話がしたい、付き合っていたころは毎日合って話をしていたというのに…

「うっ…!?」

突然吐き気がやってきて急いでトイレへと駆け込む
吐き出すだけ吐き出すとナナは信じられないといった顔をした

「まさか……ね」


*****

「奴らがこの倉庫で取引を始める、東側から二人が抑える。西側からクリスとジルで抑えてくれ」
「了解」

BSAA本部で作戦会議が行われている、作戦を聞いたメンバーは準備を整えるためそれぞれへと散っていく
クリスも準備を整えようとしたところでジルに声をかけられた

「クリス、最近ナナはどう?」
「どうって…別に何も変わらないが、どうした?」
「……最近彼女としゃべってる?」

ジルの質問にクリスはいや、と首を横に振った
最近夜遅くに帰り朝早く出かけているためナナとまったく会話をしていないことをクリスは話した
それを聞いたジルはやれやれと言った様子でため息をついた

「せっかく口説き落として夫婦になったのに、そんなんじゃ彼女に逃げられるわよ」
「大丈夫だ、何か不満があったらいつでも言ってくれとは伝えている」

そろそろ準備するぞ、と言うクリスにジルは呆れていた
ナナはクリスの事を心配させまいと文句を言わずに抱え込む方だというのに…



「現場に着いた、それぞれ場所に着け」

指揮を取るクリスに部下達は従って場所へとつく
その時クリスの携帯に電話が入る、ディスプレイを見るとナナシの文字が
電話を取るクリスをジルは見ていた

「ナナか?どうした」
『クリス……大事な話があるの』
「帰ってから聞くよ、今現場に居るんだ」
『でも…っ!』

電話を切るクリスにジルは聞いた

「ナナから?」
「あぁ」
「…切ってよかったの?」
「今は任務に集中するべきだ、行くぞ」
「……了解」

武器を構えてクリスとジルは倉庫に乗り込んだ


電話を切られたナナはそのままベッドへと座り込んだ
自分の話よりも仕事が大事なのだ、そう思うと自然と涙が零れてきた
彼女の側には妊娠検査薬が置いてあり陽性と反応が出ている、そう今朝の吐き気は妊娠をしていたからだ
初めての妊娠に戸惑ってしまいクリスに電話をした、だが彼は仕事ばかりで話を聞いてくれない。子供の事も考えたら夫婦でいるべきなのかどうかさえ迷ってしまう
もう一度携帯を握り締めて電話をかけた


****

作戦が終わってすでに日が暮れていた、携帯の電源を切っていたクリスが電源を入れると留守電が入っていた
それを聞いたクリスは車のキーを握り締めて急いでBSAAの本部を飛び出した


――クリス、私たち別れましょう……貴方は私よりも自分の仕事の方が大事なんでしょ?
それに……私、妊娠したの。子供の事考えたらこの方がきっといいのよ
さよならクリス……身体に気をつけてね






中途半端ですみません…多分続き書きます。仕事に集中しすぎて妻をほったらかしにしてしまったクリスの話です
自慰
120609


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