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「ナナ…」

レオンは改めてナナの顔を見た
彼女は真っ直ぐに自分を見つめてくれている。その瞳はかつての時と同じ
自分を愛してくれていた時の瞳だ

「ナナ」
「ん…」

ナナの顔を両手で優しく挟んで唇を重ねる
何度も角度を変えて、優しくレオンは口付けた
やがてナナが顔を横に逸らした

「どうした?」
「…嬉しいんだけど何度もされたら恥ずかしいわ……」
「今まで…触れたくても触れられなかったんだ。許してくれないか?」

レオンは耳元で囁いて頬にまた口付ける
側にいても彼女に触れることができなかった欲求が溜まっているのだ
ナナは優しくレオンの頬に触れた

「ありがとうレオン…ずっと側にいて守ってくれて」

記憶を忘れた彼女をレオンは捨てることだってできた
だけどそれだけは絶対にできなかった
いつか彼女が記憶を取り戻すまで諦めることはできなかった

「ナナ……俺の所に帰ってこい」
「レオン…」
「今度は何があっても俺が守る…命をかけて」

力強くレオンに抱きしめられた
ナナもレオンの想いを感じて、同じように力強く彼を抱きしめ返した


次の日
レオンとナナは無事に戻った
帰ったと同時に二人を迎えたのはヴィンセントだった
彼はナナの姿を見つけてすぐに駆け寄ってきた

「ナナ!」
「ヴィンセント…」
「館での事件を聞いてね…よかった無事だったんだな」

ヴィンセントはナナを抱きしめる
そしてそのままレオンの方を見た

「君がナナを守ってくれたおかげだな…礼を言っておくよケネディくん」
「…ナナを守るのは当たり前だからな」
「……さぁナナ、疲れたろ?今日は家に帰ろう」

ヴィンセントはそのままナナシの肩を抱き寄せた
だが彼女の手をレオンが掴んだ、彼の行動にヴィンセントは驚いた顔をした

「何をしてるんだ?離してくれないか」
「それはできない、俺はもうナナを離すことはできない。これからは俺が守るからだ」
「心配しなくても僕がこれから「ヴィンセント」

ヴィンセントの声をナナが遮った
彼はナナシを見つめる

「ごめんなさい」
「ナナ?何を謝ってるんだ…?」
「私…全部思い出したの」

彼女の発言にヴィンセントは目を見開く
ナナの顔を見れば記憶を失っていた頃の瞳と違っていた

「私の名前はナナ・ギルバート…そこにいるレオンとは恋人同士。ラクーンシティで腐った手すりから落ちて記憶を失った……」
「何が言いたいんだ…?」
「記憶を失って…私に親切にしてくれた貴方にはとても感謝しているわ……だけど私はもう貴方を愛せない。これからもずっと一緒にいたいのは……レオン・S・ケネディだけだから」

真っ直ぐにヴィンセントを見つめてナナは言った
ヴィンセントは驚きを隠さずにはいられなかった


ごめんなさいヴィンセント
記憶を失って、何も分からない一人ぼっちの私に優しく声をかけてくれてありがとう
貴方と過ごした日々はとても温かくて楽しかった
だけど私…それ以上にレオンが好きなの……
彼のそばを二度と離れたくない
別の男を想っている私を…貴方の側にいる資格はない
貴方のような優しい人ならきっとまた別の人が貴方を愛してくれる


しばらく沈黙が続いていた
だがやがてヴィンセントは懐から拳銃を取り出しナナに向けた

「ヴィンセント…!!」
「ナナっ!!」

レオンの声が響いた


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