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レオン・S・ケネディ
彼は私の大切な恋人……
あの日の記憶を失う前の出来事を思い出した……


【1998年】

レオンがラクーンシティに旅立ってから次の日のこと
一人ぼっちになってしまった家を寂しそうに出て大学へと向かっていた
いつも送ってくれた彼も今日からいない、寂しさに胸がいっぱいになりそうだったがそれに耐えなければならないのだ。と自分に言い聞かせた

「それじゃあ彼ラクーンシティに一人で行ったの!?」

驚いた表情で話すのが――エリーだった
ナナは頷いて学食の食事を口に運んだ
もう一人の女の子も口を開いた

「遠距離恋愛になっちゃうのね…追いかければよかったのに〜」
「…ううん。私と彼にはちゃんとそれぞれの目標があるもの」

お互いに叶えたい夢がある。彼の為、彼女の為といって夢を諦める訳にはいかない
レオンとナナはそんな甘い関係ではないのだ

「私も卒業したらラクーンシティに行くつもりだし、休暇が取れたらレオンだって帰ってきてくれるもの」

そう言ってナナは微笑んだ

『緊急ニュースです!ラクーンシティが突如化け物の大量発生により町が壊滅状態となっております!!』

聞こえてきた声にナナはそちらを見る
真ん中に置いてある大きなテレビの中からその声は聞こえた
ナナは立ち上がってそのテレビを見る
テレビの中の映像はラクーンシティの町だ、だがあちこちで建物が燃えており人々が悲鳴を上げながら逃げている。それに気味の悪い化け物も映っていた

「ナナ…大丈夫!?」
「……ラクーンシティ…行かなきゃ…レオンが…っ!!」
「え!?」

ナナはすぐに走り出した
頭の中が混乱している、まず一番に自分の家へと向かった
どうすればいいのかわからない、レオンは無事なのか?レオンを助けなければ
とりあえずタンスの中の服を引っ張りだし必要なものを鞄の中に詰め込んだ
そして側にあったペンを取り紙にレオンへの伝言を残す
もしかしたら彼はここに帰ってくるかもしれないという期待を込めて


数時間後――
ラクーンシティになんとかたどり着いたものの静まり返っていた
ナナは不安になりながらも街の中を歩いてみる
そして一件の建物の中に入った

「…こんばんは、誰かいませんか?」
「誰だ!?」

一人の男に銃を向けられてナナは両手を上げた
男は彼女の姿を見てほっ、としたのか銃をすぐに下ろした

「悪かったな…ゾンビが入ってきたのかと思ってな」
「ゾンビ…?」
「あぁ…何が原因なのか全くわからないんだが、突然人を食い始めたんだ。噛まれた人間はヤツらと同じようになる……アンタ、噛まれてないよな?」
「噛まれてないわ……それにも出くわしてないし、ついさっきこの街に着いたの」
「……アンタ何しにきたんだ?」

男に尋ねられてナナはレオンの写真を見せる

「恋人がこの街にいるの…見てませんか?」
「さぁな……どちらにせよもうこの町から出たほうがいい。裏に車があるんだ」
「待って…ダメよ。私レオンを見つけるまではこの街を出ないわ」
「悪いことは言わないから逃げたほうがいい。その恋人だって逃げたかもしれないだろ?こう言っては悪いが死んだかもしれない…」

レオンが死んだ?
その言葉にナナの心臓が大きく鳴った
その言葉はとてもショックだった、ふらふらした足取りで入口へと向かう

「そうだ……警察署に行けば…何か……」
「おい扉に近づくんじゃないっっ!!!」

ナナが顔を上げてガラス張りの扉を見ればゾンビたちがいた
思わず動かなくなってしまった身体、ゾンビたちが中に入ってきた
だが先程の男がナナの身体を突き飛ばし、彼らはゾンビの下敷きになってしまった

「うわああああぁぁぁっっ!!!」
「!やだ…そんな…っ!」

ゾンビに食われる光景を目の当たりにしナナは目が離せなかった
その内一人のゾンビが彼女に気付いて向かってきた
ナナは身体を必死に動かして裏口へと進んだ、彼の言っていた車があったがそれすらも無視して階段を登る

「ひっ…!?」

階段を登ってしばらく進んでいたがその先からもゾンビが現れた
戻ろうかとも考えたが後ろにもゾンビがいる
挟まれた、絶体絶命のピンチだった

「レオンっ…!」

ここで死ぬんだわ…とナナは最後に彼を思いながら手すりにもたれたときだった

バキッ

「きゃあああっっ!!」

手すりが腐っていたらしくナナはそのまま下へと落下した


ヒロインの過去編です。もうちょっとだけ続きます
110729

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