26


「ん……」

レオンは目を覚ました
ぼんやりとしながらもう一度瞳を閉じたがそれが再び開けられる
首を横にして先程までナナが座っていた方を見た、だけど彼女の姿がない
撃たれた場所がまだ痛むが体を起こして病室を出る

「すまないナナを知らないか!?」
「外に出ていくのを見ましたよ…」

近くにいた看護婦に訪ねた
記憶のないナナが外に出ていったというのか、自分と話したのは数時間前
外に出るにしては長すぎる
レオンはすぐに病院を飛び出した


「ここは……」

一方ナナは教師に教えられた場所…アパートの前に来ていた
外見がとても可愛らしくナナは気に入った
そしてふと映像が蘇る…この場所に来たことがあることを……
考え込んでいるとひとりの女性がやって来た

「あら…貴方……久しぶりね」
「え?」
「覚えてない?このアパートの管理人よ」
「……あぁどうも」

ナナは頭を下げた
確かにこの女性には見覚えがある

「突然アパートを引き払ったからどうしたのかと心配してたのよ……引き払ったのは彼だったし………こういう事聞くのは失礼かもしれないけど、別れたの?」
「引き払った……?」
「えぇ…貴方の彼が突然家具とか全部運び出して出ていくって……」

彼とは恐らくレオンの事だ

「それは…いつ頃ですか?」
「えーと確か…そう、ラクーンシティの事件があって数ヶ月ぐらい経った頃かしら…」

ナナの瞳が大きく見開かれた
時期的にもピッタリだったことに驚いている

だけどどうして私はすぐに彼と出会えなかったのだろう?
恋人なら彼はすぐに私を見つけ出してくれるはず……
ラクーンシティに私がいて助けられたのなら名前も載ったはず……
なのにどうして彼は数年もかかったの?

「大丈夫?」
「はい………お願いがあるんですけど、住んでた部屋を見せてもらえませんか?」
「え…?まぁ……空部屋だからいいけど、何も忘れ物なんてなかったわよ?」

管理人の女性がナナに鍵を渡す
鍵を握り締めて自分とレオンが住んでいた部屋へと向かう
部屋に近づくにつれて心臓の音が大きく鳴る
一つの部屋の前に来て鍵を差し込む

「ここが……私とケネディさんが住んでいた部屋……」

部屋の扉を開ける
家具も何もない殺風景な部屋がそこにあった
ナナは部屋の中を見渡す、キッチン、風呂場……
散々見渡してナナはその場に座り込んだ

「ダメだわ……何も思い出せない…っ!」

ナナは頭を抱えて涙を流した

ケネディさんも…あの先生も…ナナは私だと言ってくれている
だけど…本当は別のソックリさんなんじゃないかと思い始めてきた
ケネディさんが好きなのは…きっと私じゃない、私に似てる"ナナ"なんだわ

ナナが涙を流したのは、記憶を思い出せない悔しさと
レオンが好きなのは自分ではないのだという悲しみの涙だったのだ

私……好きだ
あの人が…ケネディさんが好きだわ


コーン

ナナの近くから音がした、そちらを見てみれば普段胸につけている指輪が落ちた音だった。涙を拭ってそれを拾う

「…もしかして館でチェーンが緩くなったのかしら……」

指輪を拾う、そして立ち上がった時だった

――少し早いがクリスマスプレゼントだ

ドクン…ドクン

今のは…ケネディさん?
この指輪を……彼がくれた……っ


バタンッ

扉の音が開かれた、そこにはレオンが立っていた
レオンはナナが背中を向けているのを見てほっ、と息をついた

「よかった…ここにいたんだな…(まさかここにいるとは思わなかったが…)」

ナナはゆっくりと振り返ってレオンを見た

――ただいまナナ
――おかえりなさいレオン

「…オン……レオン…っ」
「ナナ……?」

ナナは涙を流しながら微笑んで彼の名前を呼ぶ
そして彼女はレオンの元へと走り彼に抱きついた、レオンも驚きながらも彼女を抱きとめる

「ナナ……?まさか……思い出したのか?」

レオンの問いかけにナナは彼の胸の中で頷いた
彼女が頷いたのを見てレオンは力強くナナを抱きしめた

「おかえり…ナナ…っ!」


110726

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