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スカーレットが銃を構える
情けないことにナナは身体を動かすことができなかった

バンッ

銃声が響きわたる
しかしそれはナナに当たることはなかった
レオンがナナを助けるために地面に二人で倒れ込んだ
すぐにレオンは天井の明かりを銃で狙って消す。自分たちの場所が暗くなった

「チッ…まぁいいわ。明かりを消したってその辺を探せばすぐに出てくる話ですもの」
「何故そこにいる男を殺したんだ!」

レオンはスカーレットに問いかける

「簡単よ。ウイルスを売ったお金を一人占めしたかっただけよ」
「なんて女なの…」
「何とでも言いなさい…まずはこの街をウイルスで壊滅させる。ウイルスを持った化け物に襲わせてね……それから私は大金持ちになるのよ!!」

スカーレットはそう言って声を高らかにして笑った
その笑い声が部屋に響きわたる
レオンはナナに向き直る

「ナナ…俺が囮になってるスキに君は逃げるんだ」
「え…でも貴方怪我してるのよ!?」
「このぐらいなら大丈夫だ…それとこれを」

レオンが懐から試験官に入った怪しいものを渡す

「エージェントさん〜私のウイルスを盗んだわね」

スカーレットの言葉を聞いてナナはレオンを見る
そう彼が撃たれる直前に盗んだのだ

「それを持って君は先に逃げるんだ」
「でも…貴方が…」
「いいから行け!物陰に隠れながら行くんだぞ!!」

レオンに言われてナナは唇を噛んで物影に隠れながら進む
それを見届けたレオンはスカーレットに向けて撃つ
自分に向けて撃たれていることに気がついたスカーレットは物影に隠れた

「エージェントさん…暗闇に隠れても無駄よ。私にはハッキリ見えるんだから」
「何…?うっ!!」

レオンの右肩が撃たれた
その場に跪いた

「サーモスコープか……」
「そうよ、残念だったわね」

スカーレットの笑い声が聞こえる
その時一発の銃弾が響いた

「私のことも忘れないで欲しいわね」
「ナナ!?」
「あら…せっかく逃がしてくれたのに何をしてるの?でもまぁいいわ…貴方から先に殺してあげる」

スカーレットの銃がナナに向けられる、すぐに別の物影に隠れた
物影に隠れながらナナはスカーレットとは別のところに銃弾を撃つ

「ふっ…どこを狙っているのかしら!!」
「やめるんだナナ!逃げろ!!」
「逃げないわ…決めたのよ、私」


貴方に守られてばかりは嫌なの
私だって貴方のことを守ってあげたい
街を救おうとしている貴方を…ウイルスと戦う貴方を…私も助けたい
そのためなら戦う、記憶だって必ず取り戻してみせるわ


ナナの弾がなくなった

「どうするのかしら?」
「これでいいのよ…私は貴方なんて最初から狙っていなかったもの」
「?何を言ってるのかしら」
「まだ気づかないの?後ろの檻に…」

スカーレットが後ろを見ると檻の錠前が壊れていた
そして中から出てきたのは……ウイルスの実験台にされゾンビになった者がスカーレットに襲いかかる

「な…やめなさいっ!ぎゃああああぁっっ!!!」

ゾンビはスカーレットを押し倒し食べ始める
その光景を見てナナの心臓が鳴った

あの光景…どこかで?…それにあの化け物も……

「ナナ…!」
「!ケネディさん…」

レオンに肩を掴まれて我に帰る
彼は側にあった機械をいじって出口へと走った

「一体何をしたの?」
「決まってる爆発させるんだ…あんなところ何も残ってはいけないからな」
「爆発…!?」

レオンとナナは無事に館を脱出した
館が爆発したことによって地元の警察が集まった
レオンは怪我をしていたので病院で事情を聞かれることになり、ナナも付き添って事情聴取されることとなった


館編終了です。次はいよいよヒロインの記憶へと話は進んでいきます
110721

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