21


館の中は奇妙なほどに静まり返っていた
レオンは警戒しながら進んでいく、ナナも同じように続いた
人が誰一人といない雰囲気はとても怖かった

「誰もいないのか…?」
「……とても恐ろしい何かがあるような場所には見えないわ」

レオンとナナは周りを見渡しながら一つの部屋へと入っていく
何もない普通の寝室。辺りに何か手がかりになるようなものはないだろうかと見渡す
ナナが床に散らばっていた書類を拾い目を通す

「1998年…ラクーンシティ…?」

ラクーンシティ…と呟いてナナの頭の中に映像が浮かぶ
逃げ惑う人々、化け物に襲われる人々、逃げ回る…自分

「っ…」
「どうしたナナ!?」

頭を抱えるナナにレオンはすぐに駆け寄った
彼女はレオンに顔を向けた

「大丈夫よ……ちょっとまた記憶が…」

――…は!?…はどこにいるの!!?

「…そうか少し休むか?」

――私…を探しに来たの!誰か知らない!?

「い、いいえ…そんな事してる時間がもったいないわ」
「…無理するなよ」
「えぇ…ありがとう」

レオンはナナに手を貸して立ち上がらせる
そして再び周りの物を物色しだすレオンにナナが声をかける

「ひとつ聞きたいんだけどケネディさん」
「なんだ?」
「…ラクーンシティの事件を貴方は知ってる?」

その言葉を聞いてレオンの顔が変わったのにナナは気づいた
レオンはしばらく黙っていたがコクリ、と頷いた

「あぁ…知ってる」
「この書類今拾ったんだけど…やっぱり関係しているのかもしれないわ」

ナナの手から書類を受け取り中を読むレオンは眉間に皺を寄せた

「……そうだな。普通の家ではこんなのは見ない、もっとここの館を調べてみる価値はありそうだ」
「そうね…」

ガシャーン
どこかでガラスの割るような音が聞こえた
レオンとナナは顔を見合わせて急いで音の聞こえた部屋へと向かう
扉を蹴破って中に入ると一人の女性がいた

「いやあああぁっっ!!助けてええええっっ!!」

女性は二人を見るなり悲鳴を上げてカーテンに隠れようとした
レオンは落ち着かせるように女性に声をかけた

「落ち着いて大丈夫だ!俺たちは何もしない…合衆国のエージェントだ」
「がっしゅう、こく?…」
「そうだ。この館でウイルスについての情報があるって聞いたんだ、何か知らないか?」

取り乱していた女性は落ち着いてきたのか小さく頷いた

「え、えぇ…知っているわ。この館の地下で実験が行われているわ…」
「実験…」
「当たりだな。案内してくれないか?」

レオンに聞かれて女性は頷いた
そして立ち上がって壁の前へと移動する。女性が手で少し壁を押すと入口が現れた
地下へと続く階段だった

「この先で実験が行われているわ…っ」
「ありがとう…俺はレオン、こっちがナナだ。君の名前は?」
「……スカーレット」
「スカーレット…ここから先は危険だ。ここで待っていてくれないか」

レオンの言葉を聞いてスカーレットは首を横に振った

「ダメよ!貴方たち二人じゃ危険だわ!それに私の恋人が巻き起こしてしまったことだもの…彼を説得したいの…お願い連れていって!!」
「……わかった。俺の側を離れないでくれよ」

スカーレットは頷いた
そんな二人のやりとりに何故かナナは気分があまり良くなかった
先に地下へと降りようとするナナをレオンは腕を掴んで止めた

「何してるんだナナ、先に俺が様子を見てくるから君は後から来るんだ」
「…別に私なら大丈夫よ。貴方は彼女を守ってあげたほうがいいんじゃないかしら?」
「え?」

ナナはハッ、となったがどうしたらいいのかわからなくなって先に地下へと降りていく
レオンとスカーレットも後を追った


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