18


俺の故郷がウイルスに犯されるかもしれないという危機
任務で街に行くことになったのだが、まさか相棒がヴィンセントとはな…
泣けるぜ…


レオンは廊下を歩いていた
考えているのはもちろん次の任務のことだ
自分が育った街、そして何よりもナナとの思い出がある街を無くしたくなかった
だが任務の相棒はナナの今の彼氏、ヴィンセント
上手くやっていけるか心配だった

「そんな大げさよヴィンセント…」
「駄目だ。何があるかわからないしばらく横になっているんだ」

聞き覚えのある声にレオンは思わず隠れて様子を伺った
見るとナナが医務室に連れて行かれている
何かあったのだろうか、とレオンは心配になった

「さぁベッドに入って、しばらく寝てるんだぞ」
「……わかったわ。ありがとうヴィンセント」
「君が寝るまで側にいて「ヴィンセント」

ヴィンセントに声がかけられた
組織の男だった。ヴィンセントは恐らく次の任務のことでだろう、とため息をついた
そして横に寝ているナナの頭を撫でる

「ちょっと出てくる。ちゃんと寝てるんだよ」
「えぇ」

ヴィンセントは部屋を出ていった
残されたナナはしばらく天井を眺めていたがため息をついた
その時部屋の扉が開かれる

「ヴィンセント?」
「俺だよ」

入ってきた人物にナナは目を見開いた
レオンだったのだ。彼はそのままナナの側の椅子に腰をかける

「何かご用ですか?ケネディさん」
「君が医務室に入っていくのを見てな…何かあったのかと思って」

心配そうにレオンが聞いてきたのでナナは戸惑った
それには恋人のヴィンセントと同じように心配してくれている感じがしたからだ

「あ、貴方には関係ないでしょ」
「……どこも悪くないのか?」
「うるさいわね!何もないって言ってるでしょ」

思わず強くなってしまった口調にナナは我に帰った
レオンの顔は本気で心配してくれていて、どこか寂しそうだった
しばらく黙り込んでいたナナだったがやがて口を開いた

「……少し頭が痛くなったの。過去の記憶…だと思うんだけどそれを見るたびに頭が痛くなるの」
「今も痛いのか?」
「…いいえ、もう落ち着いたわ」
「そうか…」

レオンは安心したように笑うと

「よかった」

と本当に何事も無くてよかった、と言ったように笑った
その表情にナナの心臓が脈を打った
やがてレオンは立ち上がる

「何事もないならよかったよ…ちゃんと寝ておけよ」
「え…?」

部屋を出ていこうとするレオンの背中をナナは見つめる
大きくて男らしい背中…
抱きつきたい、行かないで欲しい……

レオンは部屋を出ていった
残されたナナはゆっくりと起き上がって胸元につけているペンダントを握りしめる

私…あの背中をどこかで見たわ…
今と同じようにどうしようもなく寂しさと切なさがこみ上げてきて…
行かないで欲しいと何度も願っていた…
記憶を失って数年経つけれど…こんな風に昔を思い出すのはあの人が…レオン・S・ケネディと出会ってからだわ
彼に…何かあるのかもしれない

ナナはベッドから出て医務室を飛び出した
その行動を目撃した人物がいた、ヴィンセントだった

「ナナ…!?」


レオンは組織の建物から出て街に向かって歩いていた
思い出すのは先程のナナとの会話

「関係ないか……」

記憶を失っていたとしてもナナの言葉に傷ついている自分がいた

「泣けるぜ…」

そう呟いて苦笑した

「ケネディさん!!」
「!!」

呼ばれてレオンは振り返った
そこにいたのはナナだったからだ。横断歩道の向かい側にいる

「どうしてここに来たんだ!」
「それは…っ」

貴方を見てるとどこか切なくなるから

「わ、私のことはどうでもいいわっ…」

貴方を見てると

「ナナ!」
「ヴィンセント…どうして…?」

ヴィンセントがナナを追いかけてきていた
その時ヴィンセントとレオンの目が大きく見開かれた
赤いレーザーポインターがナナを狙っているからだ

「危ないっ!!」

バンッ

ナナの視界が赤く染まる
ヴィンセントはナナを突き飛ばしてその場に倒れた
レオンは急いで二人の元へ駆け寄ってくる

「ナナ!大丈夫か!?」
「……」

ナナは答えなかった。そして頬についているものを手で拭って見た
血がついていた

「な にこれ…?」

目の前には眉間に皺を寄せて倒れているヴィンセント
撃たれた、これは彼の血だ

「ヴィンセント…?いやあああああぁぁっっっ!!!」


110708

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