17


「ヴィンセント、資料読んだわ」

部屋に戻ってきたヴィンセントにナナは先程まで読んでいた資料を渡す
ヴィンセントは微笑んで資料を受け取った

「どうしたの?何かいい事でもあった?」
「ん?…あぁ、まぁな……近いうちに君もいい事があるさ」
「?」

ヴィンセントはそう言って微笑んだ
ナナは訳がわからなかったがとりあえず微笑んだ


一方レオンは呼び出されていた
大抵呼び出されるということは任務が降されるということだ

「ある街の外れにある館で怪しい研究がされているとの情報を掴んだ。君に調査してきて欲しい」
「怪しい研究…?ウイルスか?」
「その可能性が高い。それにその街は君もよく知っている…というよりは君が育った街だ」
「!!」

そうレオンとナナが同じ学校に通い、同じ街に暮らしていた場所だった
あの平和で綺麗な街にもウイルスの手が忍び寄っているというのか

「それに今回は同行者も決めた…ヴィンセント・グレイと共に向かってくれ」
「なんだって…?彼は医者だろ!?」
「医者の知識もあるという事だ。君ほどではないが銃の扱いだって慣れている…心配はない、邪魔にはならんさ」

1週間後に任務は始まる、と告げられた
レオンは頭を抱えた。よりにもよってヴィンセントと組むことになるとは


その命令はやがてヴィンセントにも伝えられた

「え?1週間後に?」
「あぁ…急な任務で申し訳ないがしばらくは一緒にいられない」
「そう…」
「…それに今回はケネディがパートナーだ」
「!!」

ヴィンセントの口から出た名前にナナは驚いた
彼とレオンが同じ任務に出るとは…

「心配してるのか?僕を…それともケネディを」
「やめてヴィンセント…彼の事は関係ないわ」
「……すまない。少し意地悪をしてしまった」

ヴィンセントはそう言って謝るとナナを抱きしめた
抱きしめられたナナは複雑そうな顔をする
だがヴィンセントの次の言葉でナナの表情は変わる

「ナナ…こんな時になんだが……僕と結婚してくれないか?」
「え!?」

彼からのプロポーズに顔を上げるナナ
ヴィンセントは懐から指輪を出して彼女の薬指にはめる

「もうすぐ君の誕生日だろ?その日にでも式を挙げないか?」
「ヴィンセント…」
「僕は君に側にいて欲しい」

――俺の側にずっといて欲しいのは君だ

突然ナナの頭の中で再生された言葉
ナナは頭を抱えて俯いた
様子に気づいたヴィンセントがすぐにナナの顔を覗き込む

「ナナ!?どうかしたのか?」
「…っ、なんでもない、わ…」

今のは何?
私の頭の中で…もしかして昔失った記憶の一部!?
だけどぼんやりと映った男の人は誰かわからなかったけど…
私はずっと昔から知っているような気がする…


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