11


1998年
今でも思い出したくもない事件だ
俺が着いたときにはすでにラクーンシティは崩壊していた
街はすでにゾンビという化け物で侵食されており、生存者はいなかった

俺は街で知り合ったクレアと共に協力してラクーンシティを脱出することになった
途中で出会ったシェリーという女の子とも出会い、3人でなんとか脱出した


(ナナ…俺はとんでもないことに巻き込まれてしまったようだ)

脱出した後、レオンは心の中で呟いた
そして夜が明けた空を見上げる、浮かぶのはナナの顔

「レオン…私兄を捜すわ」

シェリーと共に前を歩いていたクレアが言った
彼女の兄クリス・レッドフィールドはラクーンシティにはいなかった
連絡が途絶えてしまった兄を探してこの街に来た、とすれば彼は別の場所にいるのかもしれない

「あぁ…気を付けてな。何かあったら連絡してくれ」
「貴方もね」

その言葉を最後にクレアは兄を探す旅に出た
そして、俺とシェリーはアメリカ政府に保護された
参った。すぐにでもナナの所に帰りたかったのだが…ニュースにでもなっているかもしれない、連絡をとっていないから心配しているだろう


レオンは個室に連れていかれた
そこで響きわたるマイクの声

「我々は君とあの娘をなんとでもできるということだ」

その声にレオンはすぐに答えた

「シェリーはよせ、あの子に罪はない」

だがそれにもすぐに男は答えた

「貴重なG抗体を宿している……が、安心しろ乱暴には扱わんさ」

男の言葉にレオンは少しだがホッとした
そしてすぐに男は話を続ける

「率直に言うと、君を高く評価している。話を穏便に済ませるなら選択は一つだ」

レオンは俯かせていた頭を上げた

「我々の側につけ」

素直に従うしかないと思った
きっとナナの事だって彼らは知っているはずだ
断れば彼女の命だって危ないかもしれない

「わかった……だがその前にナナに会わせてくれ」
「………いいだろう」

こうして俺はすぐに車を走らせて彼女が待つ家へと向かった

ほんの3週間ぶりだというのに酷く懐かしく感じた
部屋の明かりがついていない、夜中だし寝ているのだろうか?
すぐに部屋の扉をノックするが返事がない、ドアノブを握れば鍵が開いていた

「ナナ…?」

鍵が開いている事に不振に思って急いで部屋の中に入る
部屋の中は服などが散らかっていた、まさか泥棒でも入ったのだろうか?
それよりもナナの姿が見つからない
部屋の中を散々探し回ってテーブルの上の紙に気がついた、それは彼女の書置きだった

【レオンへ、事件を見て居ても経ってもいられなくなりラクーンシティへ向かいました。ごめんなさい、でも貴方がいなくなったらと思うととても怖いから…どうか無事でいてください】

待ってくれ…ラクーンシティに向かっただって…?

手紙の内容から彼女が向かったのは自分が出ていってから恐らく数日後
だがもう3週間は経っているのに未だに戻っていない
それにラクーンシティは滅菌作戦を受けた……ミサイルで街は消滅……消…滅…?

レオンは顔の血の気がサッと引いたのがわかった
そしてすぐに部屋を飛び出すが黒い服を着た男たちがいた

「時間だ、戻れ」
「待ってくれ…もう少し時間をくれ」
「駄目だ」

スーツを着た男たちはレオンを取り押さえて車に無理やり乗せる
だがレオンは暴れ出した

「待て!待ってくれ!!ナナを探させてくれっ!!!」

暴れるレオンの腹を殴って車を発進させる
力の抜けたレオンは後部座席に倒れ込むように寝転んだ
薄れゆく意識の中で思い出すのはナナの事だ

『私ナナ・ギルバート。3−Fクラスよ、よろしくね』
『私将来人を助ける仕事がしたくて…』
『あなたばっかりにドキドキさせられてずるいわ』
『私も…貴方の側にずっといたいわ』

ナナ……ナナ……

死んだなんて嘘だ


2レオンなんで叫んだり取り乱したりするよね…次回からは成長したレオンのはず…そしてヒロインはどうなったのか!?
110621

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -