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ナナと暮らしだして1年以上の月日が流れた
1998年7月
俺は警察学校もうすぐ卒業する
だがこの夏に起きた事件が俺とナナの運命を変えた


「猟奇事件か……」

レオンは新聞を見てポツリと呟いた
ラクーンシティで発生した奇妙な事件、最初に見つかったのは女性のバラバラにされた遺体
この事件にレオンは非常に興味をもった。ただ事ではない、何か裏があるような気がした。実際これは的を得ていたのだが

「何を読んでるの?」
「あぁ…ラクーンシティで起こってる猟奇事件だよ」
「…その記事読んだけどとても怖いわよね…」

恐ろしい顔をするナナにレオンは新聞を畳んで彼女の額にキスをする
そして時計を見て玄関へと向かう

「大丈夫、何があってもナナは俺が守るさ」
「頼りにしてるわ新人警官さん」

レオンにキスをするナナ
そのままレオンは家を出ていく、その背中を見送った

「……ラクーンシティの事件、気になるのね」


ナナの思っていたとおりレオンは学校でも猟奇事件の事が頭に引っかかっていた
何故だかわからないが放っておくと恐ろしいことになりそうな気がする
それに興味があった、事件にもラクーンシティの警察署やS.T.A.R.S……

「レオン、君は卒業したらどうするんだ?」
「あ……」

考えていたところに教師が現れて今後の進路を聞いてきた
レオンは首を横に振った

「まだ…です」
「そうか、もうそんなに時間がないんだ。早めに決めろよ」

そう言って教師は去っていく
レオンは頭の中で葛藤していた


「ナナ!」
「先生、何かご用ですか?」

廊下を歩いていたナナに教師が声をかける

「あぁ…まぁまだ先の話なんだが話しておいても悪くはないと思ってな」
「はい…?」
「君。卒業したらラクーンシティ総合病院に行ってはどうかね?」
「ラクーンシティ……」

街の名前を聞いてナナの体がピクリと反応した
今朝もレオンと話していた街の名前だ、これは運命なのだろうか?

「そこだと最新の医療技術もあるし、君が求めていることだって見つかるかもしれない…何より君は優秀だ。私はそこをオススメするがね」
「はぁ……」
「ま、卒業までまだ2年ほどあるが…すぐに決めなきゃならないだろう。私は君を推薦するから考えておいてくれ」
「はい…ありがとうございます」

ナナは頭を下げて教師を見送る
そして窓から景色を見つめた
まずはレオンに話さなければ……
そして彼ももう卒業、どうするのかを聞きたい


帰宅後
レオンとナナは一緒に夕食をとっていた

「ナナ」
「レオン」
「「話がある(の)」」

二人の声が重なり驚いて二人は見つめ合う
先にどうぞ、とレオンは譲ったがナナも譲った
しばらく譲り合いが続いていたがレオンが先に話し出した

「……もうすぐ俺は卒業だ。卒業したらラクーンシティの警察署に行こうと思うんだ」

レオンの言葉にナナは驚かなかった
何となく朝からこうなることはわかっていたような気がしていたからだ

「結果的に言うと…俺はこの家を出なければならない。君と離れることになる……もちろん付いてきてくれと言いたいが大学のこともある」
「えぇ…そうね。私は"今"は付いていくことはできないわ」
「"今"は…?」

妙に引っかかった言葉にレオンが聞き返す

「実は私…今日教師に言われたの。卒業したらラクーン総合病院に行くことを進めるって、だから…卒業したら貴方の後を追いかけるわ」
「本当…なのか?」
「えぇ」

驚いているレオンにナナは頷いた
レオンはそれを聞くと頭を下げた

「ナナ…俺から一緒に暮らそうと誘っておいて、また離れることになってすまない…」
「いいのよレオン。これもお互い目指す夢の為だもの…それに永遠に離れ離れになるわけじゃない……2年経ったらまた一緒に暮らせるんだから」
「あぁ…絶対に一緒に暮らそうな」

レオンはナナを抱きしめた
力強く、それはナナも同じだった


その日の夜はお互いを求めあい続けた、この感触も肌も忘れない
ナナを忘れない

「なぁナナ…」
「ん…?」
「結婚しないか?」

その言葉に隣で寝ていたナナがレオンの顔を見る

「結…婚…?」
「あぁ…君が大学を卒業してからでもいい。俺と結婚して欲しい」
「レオン…っ」

ナナは嬉しさのあまり涙を零した
レオンはナナの左手を取り彼女の薬指の指についている指輪にキスを落とした

「俺は永遠にナナを愛することを誓います。今もそしてこれから先も…俺の側にずっといてほしいのは君だ」
「私も…貴方の側にずっといたいわ…っ」

涙を流しながらナナはレオンの胸に顔を埋める
よしよし、と彼はナナの頭を撫でて優しく抱きしめた


その日の夜はとても幸せだった
俺とナナは将来を誓い合った、一緒になる未来を夢見て
俺はラクーンシティへと旅立った

「いってらっしゃい、気を付けてね」

これが
俺とナナの最後の会話だった


長くなってしまってすみません…いよいよ次回から急展開です。私自身がかなり書きたかったところに入ります
110619

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