09


「あら…?」

ナナは歯を磨いていたところから戻ってきてテーブルの上にあるものに気づいた
それはレオンの為に作ったお弁当なのだが、彼は忘れていったらしい

「せっかく作ったのに…」

今朝寝坊した彼は慌てていたことを思い出し小さく笑った
ナナは弁当箱を持つと出かける準備をする。幸い大学は今日は休みだ
自分が彼のいる警察学校まで届けに行くのも悪くはないだろう


「ここがレオンの行っている学校ね…」

ナナは建物を見上げて一人呟いた
彼が通う警察学校に来るのは初めてだった
近くにいた警備員に理由を説明して中に入れてもらえることができた

「ナナ!」
「レオン」

小さな部屋で待たされているとレオンが入ってきた
彼は嬉しそうな顔でナナを見る

「一体どうしたんだ?」
「貴方がお弁当忘れたから届けに来たの」
「そうか…すまない。届けに来てくれてありがとう」

レオンはお礼を言って弁当箱を受け取る
ナナもやれやれ、と言った感じで笑っていた

「今休憩中なんだ…一緒に飯でも食べないか?」
「いいの?私部外者なのよ」
「授業が始まる前に帰れば大丈夫だろ」

こう言った以上彼に帰してもらえない事はなんとなく予想できた
ナナが頷いたのを確認してレオンは彼女の手を繋いだ時だった

「あ、ここにいたのねレオン!」
「!」
「ローラ」

一人の女性が入ってきた。ローラと呼ばれたその女性はレオンを見つけるなり彼の腕を掴んだ
その行動にナナの肩がピクリと反応した

「もうどこ行ってたのよ、みんな待ってるのよ」
「悪い…今日は一緒に食べないと伝えてくれ」
「え?どうして……あら?」

ローラはそこでやっとナナの存在に気づいた

「レオン…そちらは?」
「ナナだ」
「……あぁ同棲している彼女さんね」
「ナナ、こっちは同僚のローラだ」
「…初めまして」

なんとなくローラをナナは好かなかった
女の感だろうか?ローラはレオンを狙っている、そんな気がしたのだ
ローラはナナと握手をしてレオンに向き直る

「彼女がいるんじゃ仕方ないね、私も今日は黙っていてあげる。この後の授業はサボらないでよね」
「あぁわかってるよ」

ローラはそう言うと部屋から出ていく
レオンはその背中を見送ってナナの手を引っ張る、が彼女は動かなかった
不思議に思ったレオンはナナを見た

「どうした?」
「……今の女の子は、レオンの友達?」
「?……まぁ同期と言ったところかな、クラスが同じなんだ」
「そう……」

クラスが同じ
ということはあの様子からして常にレオンの側にいるのだろう
自分の知らないところでレオンの隣に女がいる
おもしろくない、嫌だ

「レオン……」
「なんだ?」
「その…こう言うの変かもしれないけれど……なるべくローラとは関わらないで欲しいか な……」
「ナナ…」

だって想像するだけで妬けてきてしまう
顔に出ていたのかレオンはナナの顔を見て笑った

「レオンってば何笑っているの!?」
「くくっ…いや、そんな顔もできるんだなと思って」

頬を膨らましてヤキモチを妬いたナナの顔を見たレオンは嬉しく思った
いつも言葉だけの彼女が顔に表してくれたのが嬉しかった
レオンはナナを抱きしめる

「心配しなくても俺はナナ一筋だ」
「もうっ…」

そう言いながらもきっと君は俺の腕の中で顔を赤くしながら困ったように、嬉しそうに笑っているのだろう
ナナがヤキモチを妬いて、益々彼女は俺を好きなのだと実感させられた日でもあった

そして愛は深まっていく
心配しなくても俺は絶対に浮気なんてしない、今だってそうさ
そう…"今"だって

そして時は流れる、運命の1998年


警察学校ってあんまり知らないからどんなんだろう?無茶苦茶な感じですみません、今回はヤキモチな話を書きたかったんです
110616

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