05


高校を卒業してから半年の月日が流れた
季節はもう夏だ
俺は俺で毎日厳しい訓練に耐えながらも毎日を過ごしていた
それはナナも同じで難しい医学を勉強しながらも毎日を過ごしている

そして卒業して以来、久しぶりにナナと会うことになった


「久しぶりねレオン!」

待ち合わせ場所にナナが現れ、レオンも思わず微笑む
彼女も彼女で嬉しかったようで人がいるにもかかわらずレオンに抱きついた

「どう?学校は」
「毎日厳しい訓練ばかりさ。そっちは?」
「私も、難しいことばかりで頭がパンクしそうよ」

レオンとナナは会話をしながら近くの喫茶店へと入っていく

「でもやっぱり肉体訓練してるからかしら…レオン少し変わったわね…」
「そうか?あぁ筋肉がついたな、前よりは」

そう言ってレオンは服の袖を少し捲って見せる
前より男らしい身体になったレオンにナナは頬を赤く染めた
それを隠すように注文していたコーヒーを飲んだがレオンは見逃さなかった

「ドキッとしたか?」
「っ…」

顔が赤くなっている、とレオンはナナの頬に触れた
バレてしまいナナは上目で彼を睨みつけてみるがレオンからしてみれば全然怖くない

「貴方ばっかりにドキドキさせられてずるいわ…」
「そんな事ないけどな…俺もドキドキしてるけどな」
「え?」
「久しぶりに会って益々綺麗になったな」

真っ直ぐに瞳を見つめて言えばまたも赤くなるナナ
それに笑うレオン
二人でこんな風に笑って過ごす時間は久しぶりでとても居心地がよかった
もちろん卒業してから毎日電話をしていた
ほんのつまらないことでもいいから、とにかく声が聞きたくて電話をしていた
お互いに会えたときに胸が一杯になったのは確かだ
だが時間というものは永遠に続かない
時が止まればいいのに、と


すっかり日が暮れて別れることになったレオンとナナ
当然レオンはナナを家まで送っていく
帰り道は無言だった。手だけはしっかりと繋がれて離れることはなかった

もうすぐ…家に着いてしまう

ナナは家の近くにある景色を見て思った
いつも自分が通っている道だ、そこの角を曲がれば家に着く
家に着けばレオンと別れる
今度会えるのはいつになるのか、下手すれば冬になるかもしれない

離れたくない…

「ナナ」
「え?何?」
「家に着いたよ。ここだろ?」
「あ」

考え事をしている間に家に着いてしまった
ナナは繋がれていた手を離されて胸を痛めた

「じゃあ…またいつでも電話してくれ」
「う、ん……またね……」

レオンに頭を撫でられて彼はそのまま歩いていく
ナナはその大きな背中を見送る


大丈夫
毎日電話をすればいいんだし、声はいつでも聞くことができる
会おうと思えばいくらでも会えるんだし
時が経つのは早いんだから今度だってすぐに会えるわ

レオンの背中が段々小さくなっていく

すぐに会え る……


レオンの背中に何かが当たった
見ればナナが彼の背中に抱きついていた

「ナナ?どうしたんだ…」

レオンが彼女の顔を見れば涙を流している

「寂しいわレオン……もう少しだけ一緒にいて…っ」
「……あぁ」

レオンは優しくナナを抱きしめた


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