03


「おはよう」
「!おはようレオン」

昨日の宣言通りレオンは医務室にやってきた
ナナも笑顔で彼を迎える、レオンは彼女の向かいの椅子に座る
そして持ってきたノートといくつかの本を広げる

「もう行く先は決めたの?」
「あぁ…近くの警察学校にな、願書も出した。君は?」
「私は大学よ…試験まで後数ヶ月程だけど、受かるまで安心できないわ」

ナナは苦笑しながら再び本を読み出す

「そういえばいつから医務室で先生の手伝いをしているんだ?」
「入学した次の日からよ」

そんなにいたのか、とレオンは驚いた
レオンはそんなに医務室に行くことはなかった、しかし医務室に女子生徒が手伝いでいる、という噂も聞いたことがなかった
そして学生生活も終わりを迎えることに初めて医務室を使用し、彼女と出会うことができたのだ

「少しでも早く…何でもいいから身に付けておきたくて、おかげで色々と学ぶことができたわ」
「そうか」
「えぇ、保健医の先生にもいい医者になれる、って言われてるし」
「そうだな、俺もそう思うよ」

レオンの言葉にナナは一瞬戸惑ったがありがとう、と小さくお礼を言った
頬が少しだけ熱くなったのがわかったナナは慌てて本で顔を隠す
彼女の行動にレオンは笑った

それから毎日俺は医務室に通いナナと過ごす日々を送った
毎日がとても楽しかったし、彼女と過ごしていて色んなことを知ることができた
そんな中俺は無事に進路が決まり、残すは卒業とナナの試験だけとなった
だが…彼女の受験が1ヶ月前に迫ったある日

「あらレオンじゃないか」

いつものように医務室に行く、だがそこにはナナの姿がなく保健医の先生がいた
レオンはキョロキョロと周りを見るがやはり彼女はいない
そんなレオンの様子に気がついた先生はあぁ、と納得する

「あの子最近来てないんだよね…」
「教室にもいませんでした、授業が終わればさっさと帰ってるみたいです」
「そういえば最近成績が落ちたって言ってたねぇ……まぁ原因はわかるけど」

そう言って保健医の先生はチラッ、とレオンを見た
最近レオンと一緒に勉強していたことも保健医の先生は知っていた
そしてたまにナナと二人で話をするときにレオンの話が出てくるようになった
きっと彼女はレオンに恋をしているのだ

「気になるんならなんとかして彼女を捕まえて聞いてみるんだね」
「…そうします」

レオンはお辞儀をするとそのまま出ていった

数日後
いつものように授業が終わりナナは急いで帰宅準備を始めて教室を出ていく
だが廊下でレオンに手首を掴まれた

「!?…レオン」
「そんなに慌てて…もう帰るのか?」
「えぇ…」
「一緒に医務室で勉強しないか?」
「…ごめんなさい、一人で勉強したいの」

ナナはそう言うと階段を降りていく
だがそんな理由ではレオンも納得がいかない、彼女の後を追いかけて再び手を掴んで空いている教室に連れ込んだ

「放して…っ」
「そんな理由では納得できないな、今まで一緒に楽しく過ごしてたじゃないか」
「私…成績が落ちたのよ」

ナナはそう言うと抵抗するのをやめた
レオンも掴んでいる手の力を緩めた

「……貴方と勉強しだしてから、毎日がとても楽しくて嫌な勉強も楽しくなった。だけど覚えなきゃならないことが頭に入らなくなって、気が付けばレオンの事ばかり考えてるの……」

胸の中に秘めていた想いをレオンに吐き出したナナは顔を赤くさせながら言った
彼女の言葉を聞いたレオンは思わず目を見開いていたが、彼女を抱きしめた

「レオン!?」
「それは俺が好きだって事だよな?」
「…そうよ」
「俺も君が好きだよ」
「ぇ…?」

レオンからの告白に上擦った声を出す
彼は赤い顔をさせて戸惑いを隠しきれない目で自分を見つめるナナに微笑む

「俺とつき合ってくれ」
「……はい」

普段は真面目で勉強ができるナナ
どうやら恋愛に関しては初心者らしくて、彼女の普段見られなかった戸惑いや赤い顔がとても可愛くて俺はますます彼女を愛しく思った


普段なんでもできるような女の子が恋愛に関してはまるでダメダメで赤くなって困ってたりしたら可愛くないですか!?今回のヒロインは今までにないタイプを目指してます。後途中でレオンの語りとか入るのでややこしくなってたらすみません。次で高校編は終わると思われ…ます
110512

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