スイミーはひとりぼっち


フォルトゥナの事件から数ヶ月の月日が流れた
俺はキリエと共にフォルトゥナの再建をしながら、悪魔退治もこなしていた
悪魔の数は減らない
依頼を受けていて何度かダンテにも会うことがあった
相変わらずの様子で俺をガキ扱いしてくる、ムカつく野郎だ
そんな事もあってか今では腐れ縁というものになっている
そういえば俺はダンテの事務所には一度も行った事がない
行ってもいいか、と聞いたことがあるのだが首を横に振られた

「可愛いナナを見て坊やが惚れたら困るからな」

ダンテに女がいることが分かったのはこの時だ
信じられなかった
言い寄ってくる女はたくさんいそうだし、遊びまわっているイメージがあったのだが
どうやらそのナナという女はダンテにとっては大切な女のようで大事にしているようだ
だがそんな理由で事務所に来させないというのも変だ
ダンテの性格からして自慢しそうなのだが、何故か会わせたくない様だった
どうしても事務所に来たいのなら一言寄越せと言われた



「…ここがダンテの事務所か」

俺は今ダンテの事務所の前にいる
だが彼に行くとは伝えていない
一目ナナという女を見て帰ろうと思ったからだ
俺は静かに扉を開けた
第一印象は汚い事務所だと思った
女がいる割には綺麗ではない。掃除ぐらいするもんじゃないのか?
とりあえず中に入る
1階には誰もいないようだった。そのまま奥に進み大きなデスクに近づく
壁にはダンテのコートがかかっている

「ん?」

デスクの上に一人の女性の写真があった
金髪でとても綺麗な女の人だった
ダンテの相棒のトリッシュに似ているな、だが違うようだ
もしかしてこれがナナか?

「……誰?」
「!!」

写真を眺めていて気配に気づかなかった
階段の方に目をやれば一人の女性がこちらを見ている
慌てて彼女のいる方へと近づく

「勝手に入って悪かった…けど俺はダンテの知り合いでネ「バージル!!」

女はそういうと階段から降りて俺に抱きついてきた
突然の行動に俺は目を丸めていたが、慌てて彼女の身体を離した

「何してんだよアンタ…!」
「バージル…帰ってきてくれたのね」
「?何言ってんだ俺はバージルじゃなく「ナナ?どうかした……」

階段から再び降りてきたのは
俺が会いたくなかった人物ダンテだった
寝ていたのか目が眠そうだったが、俺の姿を見てすぐに目を覚ましたみたいだった
そしてこの女がナナらしかった
すぐにダンテは階段から降りてきて俺に近づいてくる

「なんでここにいるんだ坊や」

明らかに怒っている口調だった
俺は何も言えなかった
ダンテは俺からナナを引き離した
だが彼女は不満そうな顔でダンテを見る

「ダンテ離して!バージルが帰ってきたのよ!!」
「こいつはバージルじゃない。ネロだ」
「ネロ?違うわバージルよ」
「……そろそろ薬飲む時間だろ」

ダンテはナナを抱き上げて2階へと連れて行く
その途中でダンテは俺を見た

「話は後だ。待ってろよ」
「……わかった」



しばらくしてからダンテが降りてきた
デカイ椅子に座りドカリと足をデスクの上に乗せる
俺はデスクを挟んだ向かい側に立っていた

「…さっきの女性がナナか?」
「あぁ…」

なんとなく口を開いてもう一度確認した
ダンテは答えてくれた
俺の目的はこれだけのハズだったのに、見てはいけないものを見てしまったようだ

「ナナはな……俺の兄貴の恋人だったんだ」

ダンテはポツリと語りだした
殴られるのを覚悟していたが、今は聞こうと思う
そういえばダンテの兄貴は俺が今もっている刀の持ち主だ

「だがある日兄貴は魔界に堕ちて帰ってこなくなった……その日からナナは壊れてしまったんだ。俺がいくら帰ってこないと言っても聞いてくれない…今もアイツはバージルを待っている……ナナの目には何も映っていない」

どこか悲しそうに苦しそうにダンテは言った
きっとダンテは昔からナナの事が好きだったのだろう
だが彼の想いは彼女にはもう二度と伝わらないのだ
傍にいるのに

「悪かった……」
「……いいさ、いずれはバレると思ってたしな」

ダンテは俺を攻めなかった
俺は頭を下げてそのまま入り口へと向かう

「坊や」
「!」
「またな」
「……あぁ」

また仕事先で会えるだろう
俺はもうここには二度と来ないだろうと思う




「うぅ…ん」

目を覚ましたナナが最初に視界に写したのはダンテ
ダンテは優しく微笑んで髪を少し掻き揚げた
それを見てナナは嬉しそうに微笑む

「バージル、おはよう」
「おはようナナ」

ダンテは体を倒してナナにキスをした





壊れてしまったヒロインとそれを支えるダンテの話です。そして語り手はネロwwヒロインがネロもバージルと言ったのはやはり彼がバージルの息子だからヒロインもなんとなく面影に気づいたのでしょう。ていうかこれは誰が相手の夢だろww?シリアスも大好物な水瀬でした
約30の嘘
110219


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -